新型潜水艦
1942年2月15日
南支那海フィリピン沖南西180キロ沖
超弩級多目的戦艦龍神艦橋
「艦長、集合地点です。」
「分かったわ。」
岸本航海長の言葉に篠田艦長は頷いた。
先日連合艦隊司令部から緊急暗号電文が届いた。龍神は他の連合艦隊にも行動を秘匿している為、基本的に無線は使用していない。そこへ連合艦隊司令部の方から電文を飛ばして来たのである。その内容がフィリピン沖南西180キロ地点での集合である。理由も分からず集合地点に到着した龍神であった。
『艦長!!音探(音波探知機)が急速浮上中の潜水艦を捕捉しました!!』
「急速浮上?」
電波室(レーダー室)からの報告に篠田艦長は驚いた。潜水艦を捕捉したのは見事だが、その潜水艦が急速浮上しているのである。
「砲術長どう思う?」
「敵ならば魚雷を直ぐに発射する筈ですし、急速浮上しているなら攻撃の意思は無いと思われます。」
「そうね。この潜水艦が連合艦隊司令部からの電文に関係あるかもしれないわね。砲術長一応念のために、全砲門を浮上位置に向けて。」
「了解しました。」
川村砲術長は敬礼すると艦内電話で命令を下した。
その僅か1分後。龍神の目の前に潜水艦が浮上した。その潜水艦は今まで篠田艦長が見た中で最大の大きさであった。潜水艦は浮上すると発光信号を送って来た。
『我特大型潜水艦海神なり。』
龍神と海神の初めての出会いであった。