表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

龍神出撃

大日本帝國は仮想敵国をアメリカ合衆国としていた。そしてまたアメリカも仮想敵国を大日本帝國としていたのである。



超弩級多目的戦艦龍神が建造を開始したのは1937年である。この年は支那事変が勃発し日独伊防共協定が調印され、欧州では暗雲が立ち込める年となった。海軍省次官であった山本五十六中将はアメリカと仮に戦争をするとなれば航空機を利用するしか無いと考えていた。しかし大日本帝國の国力で建造出来る数は知れている。そこで1隻に多数の能力を備えた多目的艦を造る事を考えたのである。山本次官は早速海軍省と軍令部にそれを提案した。建造費は大和級戦艦3番4番艦を中止して、それを利用するとの事であった為に当初は猛烈な反対を受けた。しかし山本次官は諦めず新型戦艦を多目的戦艦にするからには巨砲も搭載し、航空機も搭載すると説明した。多目的戦艦にも46センチ砲を搭載する事が分かり、反対意見は徐々に下火になった。

そして軍令部と海軍省が賛同し1937年末には超弩級多目的戦艦龍神の建造が長崎(大和級2番艦は旅順の新造船所での建造となり1年建造が遅れる事になった)で始まったのである。





1942年1月6日午前0時

鹿児島県沖南西130キロ東シナ海


超弩級多目的戦艦龍神が航行していた。




超弩級多目的戦艦龍神艦橋



「針路に変わり無し、波も穏やかです。」

「了解。」


岸本渚航海長の言葉に、篠田絵梨子艦長は頷きながら答えた。龍神は海軍の艦艇でありながら、他の艦隊と共同作戦を行わない特命艦でもある。その為龍神は連合艦隊所属のどの艦よりも異色であり独自性がある。それは乗員をみても明らかで、乗員3800名全てが女性である。このような戦艦は他の連合艦隊艦艇どころか、世界的に見ても龍神だけである。龍神乗員を全て女性にする事には海軍省と軍令部は猛烈に反対した。しかし山本大臣と小澤司令長官の意志は固く更に1隻だけの特命艦である龍神には常識には捉われない運用が必要になってくる。そこで女性となった訳である。度重なる説得に海軍省と軍令部は折れ、女性だけの戦艦に龍神はなったのである。





「艦長、最初の目的地はどちらに?」


川村穂野香砲術長の言葉に、篠田艦長は地図に視線を落とした。


「バリクパパンを目指すわ。ABDA艦隊が未だ健在の今、攻略部隊に攻撃を仕掛けてこないとは限らないわ。それを支援するわ。陸軍と海軍が作戦を上手に実施してもらう事が重要よ」「成る程、南方の占領は最優先事項ですからね。」


深田理香船務長が篠田艦長の言葉に頷いた。


「上陸が成功しても、輸送船団が被害を受けたら意味が無いからね。攻略部隊の被害を防ぐことが龍神の初陣に相応しいわ。」

「了解いたしました。目的地はバリクパパン、龍神全速前進で目的地に向かいます。」

「了解。」


岸本航海長の言葉に篠田艦長は敬礼をしながら答えた。





龍神はバリクパパンへ向けて出撃した。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ