『其の五』 負の者
「負の者とは現世で忘れ去られた神のことだ」
「神様なのに人を襲うのか?」
するとイノは近くにあったベンチに座り話し始めた。
「神様と言っても沢山の者がおる」
「よく言うじゃろ?八百万の神と」
「だとしても神様なんだろ?ほら、人を助けたりとかする話も……!」
俺の言葉にヒモリの言葉に遮られた。
「それは沢山の人に認識されている神だけだ」
そしてヒモリは説明を続けた。
「神というのは現世とこの世界を行き来するために、己の聖地を持っておる」
「例えば私なら近くにある愛宕神社で火の神様として崇められてる」
「そして私やイノは総本宮があるんだ」
「総本宮?それってなんだ?」
「私たち神様が最初に降り立つ場所であり、源でもある場所なの」
すると後ろに座っていたイノが立ち、話し始めた。
「妾も元々は伏見稲荷大社という京都にある神社に祀られておったのだが、その一部が分霊として、ここで祀られていたのだ」
「そして月日は流れ、その土地と強く結ばれ妾が生まれたのじゃ」
「つまりは、大本って事なのか」
するとヒモリは頷き話した。
「そう、でもその総本宮を持たない神様もいるの」
「例えば、山道にある祠だけの物とか」
「確かに見たことはあるな……」
「あれは村の人達やその周囲の人たちが旅の無事を祈ったり、村を守ってもらうように自分たちで祀った物なの」
「でもそれは小さいコミュニティーだからこそいつか忘れ去られてしまう」
ヒモリは少し悲しそうに話した。
「そして最終的に忘れ去られた神様は衰えていき、最終的には消えることを受け入れるの」
「でも、一部は恨みや憎しみで問題を起こす神がいるの、それが負の者ってわけ」
頷くと、イノが話し始めた。
「それで……なぜここの集落が狙われただが、何か知っているかの、ヒモリよ」
「いや、何も知らないさ」
「全く、火の神様というのに貴様は……」
「んだとこの狐野郎!」
「なっ!その言い方は無いじゃろうに!」
「どうせ油揚げもらってキューキュー鳴いてるんだろ!」
「してないわい!」
俺はイノとヒモリの言い合いを見て話した。
「早く痕跡とか見つけた方が良いんじゃないのか?」
だが二人は言い争っており、聞いていなかった。
「そもそもなぜ貴様はみだらな格好をしているんじゃ!」
「これはさらしだし!それに神聖なる格好だ!」
「なぁに?どうせ若い男でも捕まえようとしているのじゃろ?」
「あんだと?!その見た目で中身はババアのくせに!」
「ババァだとぉ?!」
俺は二人をほっとき、集落を探索することにした。
そして一声かけようとしたが……
「お主は静かに見とくのじゃ!」
「小僧は黙っとけ!」
……と言われ、静かに探索した。




