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【24】クォーティアの初代勇者




その晩は公王夫妻とフリージアの兄だと言う王太子殿下を交えて晩餐会となった。


「うちのお兄さまよ。レインとも仲良しなの」

「お前たちはいつも一緒に遊んでたからね」

フリージアの言葉に王太子殿下が苦笑する。


「フリージアは姫なのに毎回泥だらけになって……」

「単なる剣の稽古よ!今は食事時なんだからその話は……っ」

「はいはい」

やれやれとしながらもフリージアに優しく微笑む王太子殿下。


「お兄さんと仲良しだなぁ、フリージア」

そうレベッカに告げれば。

「あら、私もよ」

「え、レベッカってお兄さんいたの!?」

「そう言えば会ったことなかったかしら?」

思えばレベッカは後継者ではないからお兄さんがいたとしてもおかしくはなかったのだ。


レベッカのお兄さんの話題に王太子殿下が皇太子殿下によろしくと言っており、レベッカも笑顔で応じている。レベッカのお兄さん……会ったことはないけれどどんなひとなのかな。


「あら、そう言えばアルヴィンさまたちはやはり来られなかったのね」

と公王妃さま。

「す、すみません!」

アルさんたちは従者だからと城の食堂で夕飯を取りに行ったのが解せぬのだが……せっかくの晩餐会。フリージアも喜んでいるからと参加させていただいた。


「いいのいいの、大丈夫よ。相変わらずね」

えと……やはりアルさんたちのことを知ってるのかな。それともやっぱりアルさん……?


「あぁ。しかし城の食堂も美味しいものが多いからな」

「カレーもあるのよ。あとはオムライスとかナポリタンとか」

公王さまの言葉にフリージアが続ける。それはちょっと食べてみたい。


「そうそう、食堂のメニューはクォーティアの大衆料理なのだけど、最初に持ち込んだのはロジー・シエルナイトだったと言われているのよ」

え……俺?

俺が地球の記憶を持っていたのは前世。なのに何故前前世の俺がカレーやオムライス、ナポリタンを知っていたんだ?


「思えばそちらも召喚勇者には人気だったね」

「そうね、お兄さま!クォーティアの料理を気に入ってもらえて嬉しいわ!」

しかしそれを持ち込んだのは前前世の俺。フリージアたちの話を聞く限り、ロジー・シエルナイトは外から来てクォーティアに料理を持ち込んだように思えるのだ。なら一体彼はどこから来たのだろう?


そんな疑問を抱えながらも、公王夫妻に案内されて席につく。シギとシルフィ用の席も用意してもらったとはいえ……。


「シギは大丈夫かな?」

一応暴食と呼ばれる竜なのだ。


「問題ないわよ。黒魔竜だからって食事は多めにしてもらったの」

「きゃ~っ!」

フリージアの言葉にシギは嬉しそうだ。しかしシギが黒魔竜だと言うのは……。


「フリージアから聞いていますよ。黒魔竜の子が我が国を訪れてくれるとは喜ばしいことです」

と公王妃さま。


「けれど同時に黒魔竜とは悪戯好きでも有名で、そんなところはクォーティアでは愛されているのですよ」

「きゃ?」

こてんと首を傾げながら果物をもひもひしているシギ。


「やんちゃで悪戯好きってのは今でもよく分かりますよ」

そしてそこが愛らしいことも。だからこそこんなにも温かく迎えてくれるのかも。シギの頭をなでなでしてやれば……。


「きゃんっ」

そうかわいらしく鳴いてくれてとても癒された。シギは食欲旺盛ではあるものの、そんなところも微笑ましいと言ってくれる。


そしてフリージアの学園での日々やレベッカも交えて俺のお菓子を食べながら楽しく過ごしていること、たくさん話すことができた。

そんな優しい国が前前世のロジーの大切な国だったことは改めて良かったなと思うのだった。


※※※


晩餐会を終えて戻れば、アルさんたちと合流できた。


来賓用の部屋に戻ろうとすれば、城の中央にいる騎士の像が出迎えてくれる。


「あれが俺とシギなんだもんなぁ。前前世の記憶はないからあまり……」

え、そうだったっけ……?

どこか引っ掛かりを覚えた。


「ロジー、どうしたの?自分の像なんてじっと見ちゃって」

俺が立ち止まったからかフリージアがどこかニヤニヤしながらやってくる。


「ち……違うって!そうだ……!その、この反対側にいる騎士は……」

そう言えば聞きそびれてしまっていたな。シギを挟んで俺の反対側にいる騎士だ。


「こちらはアルヴィン・ソルナイトよ」

あ……アルヴィン?


「アルさんと同じ名前だね」

「アルの本名ってそうだったの?」

俺の言葉にフリージアが驚く。そう言えば普段俺たち、『アルさん』としか呼んでなかったかも。


「……偶然だよ」

何かアルさんの声音、低くない?しかも後ろでルシルさんとルオさんが吹き出したのは……何故。


「そう言えばアルも大剣使いだし、縁が深いわね」

「そうだなぁ、レベッカ」


「それにね、アルヴィン・ソルナイトは三騎士以外でももうひとつ有名なことがあるの」

「え、何だろう?」


「アルヴィン・ソルナイトはクォーティア公国の初代勇者なのよ」

「え……勇者!?」

「そしてそれからクォーティア公国には勇者が多く生まれるのよ」

そう言えばそんな話を聞いたな。

「お陰でグローリアラントからは睨まれるけど、こうして三騎士と……初代勇者のアルヴィン・ソルナイトが守ってくれているから誇りなのよ!」

そっか……ならきっとアルヴィン・ソルナイトは女神の加護をもらった真なる勇者だったんだろうなぁ。


「でも魔帝国と同盟を結ぶのはいいの?勇者が多い国なのに」

魔神を崇める魔族からしたら女神の加護を持つ勇者がたくさんいるわけである。

「うん?特に問題ないし、魔帝さまもこの初代勇者像は三騎士の中でも特に喜んでくれるのよ!」

え……勇者って魔族からも歓迎されるの!?グローリアラントのダメ勇者は論外だろうが、クォーティア公国の勇者は……。


「……魔帝……魔帝か……セレーナに通報するか」

アルさんがぶつぶつ呟いているのが少し気になったが。何故最後に最強の呪文を唱えたのだろうか。



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