第4話 聖銀のナイフと、不死系の魔物
「そういえば……お主が致命傷を負ったというあの戦闘、敵が撤退して終戦したと森の小鳥が言っておったぞ」
ミリュアの言葉にヴァルドは目を丸くした。
「……! そうか! かなり苦戦を強いられたが、それならば良かった」
ヴァルドは小さく笑みを浮かべ、嬉しそうに胸をはずませた。
「ふふ……小鳥と話せることに対してはノータッチなんじゃのう」
森を抜け、街に向かう道を歩く二人。
しばらくすると街の輪郭がはっきり見えてきた。瓦屋根に朝日が反射し、遠くで人々の声が響く。ヴァルドは剣の柄に手をかけ、慎重に視線を巡らせる。
街の広場に立つ掲示板に目を向ける。数多くの討伐依頼の中で、一つの札がヴァルドの視線を止めた。「街周辺で頻繁に出没する、不死系の魔物を討伐してほしい」という内容だった。
「……不死系……か」
ヴァルドが掲示板から目を離すと、ふと表情を引き締めた。
「この街に来る途中で聞いた話だがな……俺の家族を奪った宿敵、アルグレイドってやつは、不死身の兵士を従えているらしい。まともに戦ったら、とてもじゃないが太刀打ちできん」
その声を聞き、ミリュアは太もものベルトに装備されたナイフに手を伸ばして取り出した。刃が朝日の光を受けてきらりと光る。
「ふふ……不死系にはこの聖銀のナイフじゃ、魔物くらいなら倒せるじゃろ。さすがに兵士レベルになると太刀打ちできんがのう」
「……ほう。不死に対抗できる武器があるということか」
「聖銀で作った大剣とわらわの力さえあれば、お主の宿敵とやらもイチコロじゃろ……ただし、わらわたちも不死系じゃから、扱いには気をつけないといけんがな」
「すっかり忘れていたが、それもそう……か」
ミリュアはナイフを鞘に戻して、周囲を見渡す。街の人々の生活が目に入り、森での孤独な時間とはまるで別の世界のように感じた。小さな街だが、石畳や瓦屋根、朝の光を浴びた建物の隙間から聞こえる声や足音に、彼女の心は弾む。
「ふふ……久しぶりにこうして人と関わるのは楽しいのう。しばらくは旅費を稼ぐため、街ごとに民の困りごとを解決する仕事をこなして回るのはどうじゃろうか? わらわももちろん力になろう」
「そうだな。聖銀の大剣とやらを手に入れる方法も探らなければ」
「さて、まずは不死系の魔物の討伐からじゃな!」
ミリュアは小さく跳ねるように歩き、胸を躍らせる。
久しぶりに誰かと共に行動できる喜びが、彼女の心を温めた。
ヴァルドは少し呆れたように笑いながらも、その背中を追った。
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