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吸血鬼の少女に血を吸われた傭兵は、迫る戦争と不死の脅威に立ち向かう  作者: 白月つむぎ


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第12話 ミスティア・メタル

 依頼の報告を済ませた三人は、ミレアンの中心部にある鑑定所へと向かった。

 夜明け後とはいえ、砂漠の熱はじわりと肌を焦がす。しかし、鑑定所だけは別世界だった。


 巨大な天幕で覆われた建物。日干し煉瓦の外壁は淡い青で塗られ、魔除けの紋様が縁にぎっしり刻まれている。

 入り口には、砂漠トカゲの革を張った扉が吊るされ、風が吹くたびに低く鳴った。


 中に入ると、ひんやりとした空気が肌を撫でる。魔力を込めた冷却石が天井に埋め込まれており、薄い白い霧が漂っている。

 壁には数十種類の鉱石が並び、それぞれ魔力反応の色で淡く輝いていた。


「ほぉ……まるで宝物庫じゃな」


 ミリュアが眩しそうに目を細める。


「ふむ、ここなら確実に鉱石の正体がわかりそうですな!」


 ダリスは胸を張り、例の“ひょろひょろポーズ”で意気揚々と受付へ進んだ。


 ヴァルドは背負い袋から、昨日発見した青白く輝く鉱石を取り出し、鑑定台へ置く。

 鑑定士は長い白髭を揺らしながら石を手に取り、魔力灯の下でじっくりと観察する。


 しばらく沈黙が続き──


「……ふむ、聖銀ではありませんな」


 三人が同時に肩を落とす。


 鑑定士は続けた。


「しかし、これは珍しい鉱石。『ミスティア・メタル』と呼ばれるものです。魔力の流通性が高く、武具に加工すれば魔術の増幅効果を得られる。市場では高額で取り引きされておる」


「高額……ですと?」


 ダリスの耳がぴくりと動く。


 ミリュアはがばっとヴァルドの腕を掴む。


「高額、じゃと!? 売って旅費にできるではないか!」


 ヴァルドもわずかに笑みを浮かべた。


「……悪くないな。聖銀じゃなかったのは残念だが、これなら次へ進む足しになる」


 受付で買い取り額を聞いた瞬間、三人の目が同時に輝いた。

 予想を遥かに上回る金額だったからだ。


「これだけあれば、次の街まで余裕で行けますぞっ!」


「ふふっ、運が向いておるようじゃな!」


 聖銀ではなかったものの、足取りは軽くなる。

 三人はミレアンの門をくぐり、次なる目的地へ向かい歩き出した。


「さて……次は砂漠を抜けるんだったな」


「新しい地域、楽しみじゃ!」


「わたくしはいつでも準備万端ですぞ!」


 砂漠の風が、遙か彼方の大地から冒険の匂いを運んできていた。

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