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喜劇  作者: 新原氷澄


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喜劇2 アンタゴニスト Chapter.5(中)

 アルチバシェッフ、と青崎雲雀(あおざきひばり)は呟いた。彼はカフェの窓際に座って、ぼんやりとスマートフォンでArtzibaschewの短い小説を読んでいた。画面を最後までスクロールして、文字を読みつくしてしまったことが分かると、液晶画面に指で触れたまま、作者の名前を反芻した。小説の内容が頭の中で映像として立ち上がっていくのを横目に、目の前の交差点を抜けていく人の流れを見る。錦糸町駅前は、土曜日の昼下がりで混雑していた。駅前に面したカフェの窓からは、人々が小器用に衝突を避けてすれ違っていくのが眺められた。


 青崎は次に、梶井基次郎の作品を読み始めた。アルチバシェッフを読んだことにも、梶井基次郎を選んだことにも、深い理由はなかった。青空文庫で五十音順に並ぶ作品を適当に開くという時間つぶしをしているに過ぎない。しかし、選んだ作品の中には、なぜか死の香りが強く漂っていた。


「ごめん、遅くなった!」


 空気がいっぱいに詰まったボールのような顔と胴体、その割にちょっとしたガラス細工さえ器用に摘み上げそうな爪先の長い指、如才なく流行を取り入れた帽子に、上等の黒い上着と、袖から覗く高価な腕時計――そして愛嬌に溢れた笑顔を携えて、中村不撓(なかむらふとう)が現れた。今の大声で店中の注目を浴びてしまったことを青崎が目線で告げると、柔らかな目元から更に力を抜いて、毒気を抜かせようとしてきた。周囲の目線は引き続きこの男にくぎ付けで、茨のような視線の交錯が青崎の肌をかすめていった。


 中村は周りの空気を笑顔ですり抜けて、青崎の目の前の席に座った。人々の視線はまだ中村を取り巻いていたが、席を立つ人も、話しかける人もいなかった。巨体を優雅にさえ見せる丁寧な所作を見守るうちに、中村を守るような生暖かい空気の層ができ始めていた。それは朝のテレビ番組で短いレギュラーコーナーを持っているとか、YouTubeで何百万回と再生された動画の制作者の一人であるとか、若手の中で随一の実力を誇るといったフレーム外の評判ではなく、中村の内側から自然とにじみ出る影響力が作る独特の磁場だった。間近で見れば見るほど、波の荒い日本海と灰色の空が無言で空間を占めている、あの逃げ場のない圧力に似たものが、青崎の肺を冷たくしていった。


 ――この男は、間違いなく屍体の上に咲く花やなぁ。


 青崎は今読んでいた梶井基次郎を思い返しながら、そっと心の中で思った。その身に羨望の象徴をたくさんぶら下げて、愛想の塊のような笑顔を貼り付けて、いつも人の視線の中心にいる中村のことを、同世代の芸人たちは畏怖の目で見ている。東京には多くの芸人がいるが、芸の専業で食っている者となれば、その数は本当に少なくなる。狭い芸人横丁や批評家目線で、実力は対等と言われても、すべての人がそう見てくれるわけではない。普通の人から見れば、中村は「芸人」で、青崎は「芸人以外」としか認識されていないという事実を、今の一瞬で叩きつけられたようなものだった。


「青崎くん、もうお昼食べた?」


 中村は大きな体を丸めて、下から伺うように青崎の顔を見た。


「……明日撮影あるから今日は食べへん」


「えー! 撮影。テレビ?」


 青崎は小さく罵倒の言葉を口の中で嚙み砕く。上京一年未満の若手コンビに、テレビ出演の機会などそうそうないことを、中村はもちろん知っているはずだった。


「……プロモーション」


「あー、モデルのお仕事ねぇ。この前雑誌の表紙になってるの見たよ。順調そうでいいね」


 関心するように小首をかしげて見せるのが、一層青崎の精神を逆撫でする。中村の物言いは、言葉の前向きな印象を裏切るように、どこか皮肉な響きがあり、上滑りする声の調子や、笑っていない目の奥が、鋭く人の神経を刺激した。しかも、中村はそれを気軽に人に見せたりはしない。計算高く、狡猾で、人に愛される術を心得ている中村が、自ら選んだ同年代の芸人だけに向ける、ある種の親愛の証といえるものであったが――それを理解していても、青崎の苛立ちは引かなかった。苛立ちは頭痛の波のように繰り返し訪れ、時々大きくなり、酸のような刺激臭を伴って、静かな内心に波紋を作った。


 青崎は、東京でこの男の存在を知って、初めて自分の人生に空隙を作ったことを後悔した。悠真と真由里というかけがえのない存在のことを一瞬だけ忘れて、火花がさく裂するように、本気で悔しいと思った。解散を選ばず、何も言わずについてきてくれる伊丹と五年間芸人を続けていれば、どれほど実力を積めただろう。青崎に似合わない後ろ向きな卑屈さを引きずり出すくらい、中村は確かな実力を持ち、自信に溢れていた。芸の上で劣っているかもしれないという小さな揺れは、他のすべてを捨てて東京に来た青崎に、許されざる身の不徳と同等にその繊細な精神を苛んだ。


「いいなぁ~僕も青崎くんぐらい花があったらなぁ。芸人なんかしないで済んだのに」


 笑いながらぶつけられる、「君は芸人なんか向いていないよ」という批判。関西なまりを直さずに、移り変わりの激しい東京で、自分の居場所を見つけられたことへの称賛で砂糖掛けをしながら、自分は「芸人なんか」と卑下できる立場であることを、毒のように潜ませる。その「芸人なんか」でありたい青崎に向かって、正面切って堂々と、喧嘩を売ってきている。


 青崎は珈琲のカップを握る直前で、窓の外に一瞬視線を落とした。伊丹と初めて一緒に駅前広場で漫才をやってから、季節が二回変わった。桜のひとつも見ずに過ごした鬱屈した春の夜、何者でもなかった自分に、錦糸町の人々は温かい拍手を投げてくれた。伊丹は五年ぶりに会った自分を信じて、一緒に恥をかく覚悟で隣に立ってくれた。そんなささやかな財産を誇りに思い、今日この場所で中村と逢うことにして、本当に良かったと思った。


「中村はお笑い以外でもうまいことできそうやなぁ」


「えー僕? えへへ、そうかな」


「ダンスもでけるし、夏目は歌もうまいし……紅白とか目指したらええんちゃう?」


「出れたらいいねぇ、М1優勝前に出ちゃうかなぁ」


 芸人たちの憧れの舞台さえ射程に入れて軽口を叩く中村に、青崎は静かな笑みを見せた。


「楽しみにしとるわ。俺は劇場のお客さんとカウントダウンやれてたらええなぁ」


 華やかなステージではなく、いつもの劇場で、泥臭く笑いを取って、目の前のお客さんを喜ばせることだけが望みだと述べると、中村の退廃的な笑いがすっと収まった。


 青崎の腕には高価な腕時計などない。上着もその下の洋服も、この街の駅前のビルあたりで簡単に買える程度の代物で、アクセサリーなど一つももっていない。それでも青崎が自分の我を折らないことに、中村は奥歯を軋ませるような強い感情を憶えている。その痩せた質素な背中が、ひたむきに芸に向き合う人間の本質そのもののように思えて、余計に腹が立つほどだった。が、それを顔に出すことは、中村のプライドが許さない。中村には、「お笑いの本場」といって憚らない、プライドだけは誰よりも高い、大阪から出てきたばかりの芸人たちの鼻っ柱を、実力で叩き折ってきた自負がある。彼は野心家であると同時に、人並み以上の勉強家でもあったから、漫才もコントもショーも、敵対するものがあれば喜んでその掌中に入り、必要なものだけを易々と摘み取って自家薬籠中の物としてきた。流れの早い芸の世界で、五年もブランクを抱えて再び劇場に立つことになった大阪の漫才師風情、鼻で笑って当然だと思っていた。


「カウントダウンはいけるでしょ。その夢は今年中に叶っちゃうんじゃない?」


 地下の劇場でよければ! と残酷な一言を心の中で言い添えて、中村はまた笑顔を見せた。


「今年はいけるかもな。でも、十年後、二十年後はわからへん」


 青崎は中村の笑顔に敵対せず、街の音に耳を澄ましている。中村が何を待っているのだろうと窓の外に視線を移すと、柔らかい鐘の音が聞こえた。駅前に響く十二時を告げる短いメロディに、青崎は優しく目を細めた。


「俺は、一生漫才やっときたい。どんな小さい劇場でも、儲けが少なくてもいい。一生自分の芸に向き合っときたい」


「…………」


「そういう気持ちで書いたのが、このネタ」


 中村が黙っているうちに、青崎は手書きの台本を机の上に置いた。「中村不撓、青崎雲雀」と二人の名前が書かれている紙に触れるのを、一瞬中村は躊躇した。ノートを切って束にしただけの、そっけない紙の束を、二重のくっきりした大きな目でしばらく見ていた。


「恋文を開ける時ってこんな気持ちかなぁ」


「ラブレター、もろたことないの?」


「メッセージで告る方が早いじゃん。そっちなら無双だけどね」


「じゃあ、これが一通目やな」


「え、本当にラブが入ってるの?」


 青崎が目を伏せて小さく笑った。中村はその一瞬、無垢な自分に引き戻されるような気がした。青崎だけが持つ、人の心の底を指先でくすぐるような透明で繊細な雰囲気を、居心地がいいと思ってしまった。同じ事務所の桜桃が彼に懐いている理由も、そこにあるのだろうと分析しながら、こほんと咳払いをした。


「どう」


 台本を読みながら、中村はカップの珈琲の口を噛んだ。最初ここにきたときは、台本を受け取ってさっさと帰るつもりだった。だからテイクアウト用のプラスチックのカップを頼んだのだが、気づいたらもう一杯珈琲を頼んでいた。珈琲カップに砂糖を溶かし入れながら青崎を見ると、青崎は中村の表情や仕草を分解するように、緻密な目で見つめていた。


「面白いと思うよ」


「ほん。どこが良かった?」


「てかめちゃくちゃ僕のネタ見てるよね、僕が喋ってるのとほとんど同じ言い回しだし、ていうか標準語いけるんじゃん青崎くん」


「中村の言いそうなことを想像して書くのはでけるけど、俺の言い回しは関西弁のほうがええの」


「損してると思うけどなぁ」


 東京で、関西弁以外の方言で漫才をやると、驚くほど通じないことがある。言語のなかで関西弁だけが別格なのであって、東の漫才師は、関西の笑いも理解して学ぶから、笑いのために回路を二つ持っているが、東京生まれの中村などは、青崎が関西弁の漫才を東京の言葉に直してくれたら、もっと面白さを受け入れられるのにと思っていた。


「今回は標準語で行こうよ、会場的にも絶対その方がウケるから」


「音の癖直さんなんから、稽古の時間倍かかるで。お前に一言一句教えて貰わんなんし」


「いいよ、別に」


 自分の口から自然に出た言葉を、中村は少しの間信じられなかった。他の漫才師との仕事を、金にならない練習をしてまでやりたいと思うことがあっただろうか。夏目との舞台は、中村にとっての独擅場、中村が人を楽しませることに完全に注力できる場だが、その他の場面は、自分より圧倒的につまらない芸人たちに花を持たせてやるくらいの気持ちでいた。今、中村が精緻にイメージしている青崎との舞台は、そのどちらでもなかった。「関西の漫才師風情」のぼんやりとしたイメージが、「東京で芸人として生きることにすべてをベットした一人の男」の輪郭に変わり、中村はその脇で暗闇の中に沈んでいる。そんな屈辱的なイメージが、中村の心裡で、静かに消えかけていた闘争心を大きく揺らめかせた。


「僕の稽古、死ぬほど厳しいけどだいじょぶそ?」


「夏目はでけてるんやろ。ほな大丈夫やろ」


「じゃ、手始めに青崎くんは僕に敬語で喋って」


 青崎は、「友成の真似すればいけるな」と呟いてから、綺麗な標準語のイントネーションで「よろしくお願いします、中村先生」と言った。中村は瞬く間に有頂天になった。


「今から遊びに行こう、青崎くん!」


「お断りします。ネタ合わせさせてください」


「言葉は人の中に入らないと磨かれないよ。どうせなら全員をあっと言わせるネタに仕上げたいでしょ」


「…………」


 目指す頂の高さが同じ二人だからこそ、青崎の逃げ道を塞ぐことは簡単だった。返事が口から出ないうちに、中村は伝票を取り上げて、会計場に向かった。青崎は薄い鞄を背負い直して、ゆっくりとついてきた。その一歩一歩を、人の目線がそっと愛でていることを横目で確かめながら、中村は愉悦の微笑を浮かべた。急に手に入ったこの玩具を、道行く人全員に自慢したい気持ちだった。


「錦糸町に行きつけの飲み屋とかないの?」


「ないですね。錦糸町で飲むくらいなら家に帰ります」


「「ないですね」のアクセントが違う。正しくは「ないですね」」


 青崎は素直に「ないですね」を口の中で繰り返している。いずれはこんな指摘をする必要がないくらい、自分が纏う空気さえ物にして、青崎がもっと腕のいい芸人になることを、中村は心底から望んだ。そういうものこそ、自分が叩き潰すに相応しいと思った。


「じゃ、新宿のバーまで行くね。お酒飲まなくて良いから、人の輪に入ってたくさん話してみてよ」


「新宿のバーには、こんな昼間から客がいるんですか?」


「いるよ。全然いる。新宿はそういうとこだから。老若男女、好きなの選び放題だよ」


「客じゃなかったら、どれも嫌ですけど……」


 青崎の手が、下へ向かうエスカレーターのベルトの上で微細に震えた。アウェイの場面で見る芸人ほど面白いものはない、というのが中村の持論で、今日も楽しくなりそうだと目を綺麗な月形に細めた。


「青崎くん、なんでその見た目で陰キャなの? もっと遊びなよ」


「誰が陰キャや。何言うても黙っとるわけちゃうぞ」


 鋭い目線で噛み付くように中村を睨んだが、少し黙った後、泣き言のように囁いた。


「そういうの、全然分からん。漫才見たり、ネタ書いてる方が楽しい」


「ウケる。変人すぎる。そんなんでよくやってこれたね」


 到底理解されるとは思っていなかったが、面と向かって嘲笑されると腹が立つものだと思った。中村はニヤニヤしながら、「伊丹くんがいるもんね」と言った。青崎はポケットに手を突っ込んで首肯した。


「人とうまいことやるんはあいつの方が向いてる。俺らはそれでいい」


 「君が社交的だったら、もっと早く売れてたはずなのに。朝の番組に出ていたのは君らだったかもしれない」――こんな賛辞を、中村は舌の下に忍ばせたまま、「次関西弁出したら罰金ね。僕はその金で君の分まで飲むから」と言い放って、青崎に溜息を一つ飲み込ませた。


 駅からパルコへ向かってくる人々の波の間を優雅に渡り歩きながら、中村はふわふわと適当に歌を歌った。肺の中にたまっていた茶色い空気が冬の吐息と入れ替わり、心地よかった。


「新宿は豪雨、あなたどこへやら」


「……せめて新宿着いてから歌ってくださいよ、先生」


「変な街で変なことしたって誰も気にしないよ。青崎くんもなんか歌ってよ」


 錦糸町の駅前広場の喧噪と、そこに佇む缶チューハイをもった集団や、急ぎ足の宣教師を横目に見てから、青崎は首を俯けて、小さく呟くように、


「……報酬は入社後、平行線で。東京は愛せど、何もない」


 スモーキーな声には妙な実感がこもっていて、中村を小さく笑わせた。青崎にもその笑いが移った。二人はお互い相手に気づかれないように笑いながら、駅に入る階段を上がりかけた。その途中で、中村はふと思いついたある考えを巡らせた。それは最初ゆっくりと、指先の小さな痛みから始まり、青い血管に沿って腕を上り、やがて胸の中を刺すような実感を伴って、中村の鋭い頭脳にひらめきをもたらした。


「あー。あー……そうなんだ。やっと分かった」


「なに」


 中村は指先を丸めて、愁眉を作って開いた男を眼前に招いた。上から見下ろそうが下から仰ぎ見ようが関係ないくらい整っている。率直に思ったが、先ほどまでの敵対心はもう浮かばなかった。


 青崎は階段の上に立っている中村を見上げた。雲の動きで、青崎の真っ直ぐな体は中村の巨体の影に入った。


「ねえ、青崎くん」


「なんですか」


「悪魔と取引したことある?」


「何回も」


 青崎の端正な佇まいの中に、今までにない動きがあった。静かで、それでいて底の見えない暗く淀んだ影が、瞳の中に浮かんだ。冷たい頬には、人の理解を拒んだ後の、潔よさと罪悪感の残滓が現れた。中村は、この何から何まで異なる男との間に、初めて自分との共通点を見つけたと思った。


「なんだ。実は君も悪いやつなんだ」


「泣いて面白くなるなら相方だって泣かすし、お客さんに笑ってもらえるなら敵とだって手を組む。それが芸人だと思います」


「そうだよね。僕もそう思う。良かった気が合って」


 中村はそっと手を差し出した。青崎も無言で握り返した。そこにはもう、高価な腕時計も、量産品の上着も関係がなかった。


「改めてよろしくね。良い漫才やろうね」


「……そうですね」


 それは、どんな芸人が同じ舞台に立とうとも、全員蹴散らしてやろうという意思表示だった。中村は青崎の冷酷なまでの情熱を信じたし、青崎は中村の芸に対する真摯な態度を承服した。二人は互いに、眼の前の悪魔に魂を売って、最高の笑いを得ることを決めた。たとえその後に、どんな悲劇が待ち受けているとしても、一度舞台の完成図を見てしまったら、もう後には引けなかった。ほとんど夢遊病のように語り、描き、幻想を共にする、彼らは互いの才能を食い合うウロボロスであることを自覚した。


「え~、もっと早く仲良くなりたかった~」


「俺は別に仲良くなったつもりないんですけど」


「じゃあこれからいっぱい飲んで仲良くなろうねぇ~一緒に新宿の朝日見ようねぇ~」


 中村が力いっぱい腕を振るので、青崎は空いている手で中村の上着を引っ叩いた。


「パリピは距離の詰め方がエグい。加減してください」


「そこは、「終電で、帰るってば、池袋」って言って」


「嫌。絶対終電より前に帰ります」


 二人は駅のホームに入ってきた電車に乗って、嘲笑と侮蔑が待ち構える、近くて遠い街へ向かった。

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