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喜劇  作者: 新原氷澄


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23/23

年末年始小話

伊丹と青崎の年末年始小話です。

今年もお世話になりました。

来年もよろしくお願いします。

—自宅—


青崎「ただいま」


伊丹「ん、おかえり。お疲れさんー」


青崎「……ふぅ、やっと年内の仕事終わりや」


伊丹「おー。俺も俺も。これ終わったら今年の仕事終わり」


青崎「そうか。はよ終わらして飯食お」


伊丹「せやな、腹も減ったし」


青崎「晩飯なにがええかな。パスタ……うどん……ラーメン」


伊丹「ラーメンがいい!」


青崎「そうか」


伊丹「お前の作るラーメン一番うまい」


青崎「時間守って茹でるだけや」


伊丹「それをちゃんとできるのがえらい。麵料理は麵とスープの味だけで勝負になるから


茹で加減が大事ってアン・ソンジェシェフも言うてたし」


青崎「お前『白と黒のスプーン』の見過ぎや。……台所覗きにこんでええから、はよ仕事終わらせてこい」


—食事中—


伊丹「そういえば、年末年始のことやけど」


青崎「……ん、ああ、お前実家帰んの」


伊丹「うん。短いけど完全オフの休みとれたしやな。手土産買いに行きたいねんけど、一緒にいかへん?」


青崎「俺も? まぁ別にええよ。どこ行くん」


伊丹「えっとなぁ、浅草か上野……うちのおかんが絶対どら焼き買うてこいって言うんやんなぁ。店の指定までしてくるねやで、なんなんやあのこだわり、めんどくさいわ」


青崎「世話になってるおかあはんのためやったら、ちょっと融通したらんかい。上野でも浅草でも、大した距離ちゃうし行ったるわな」


伊丹「おおきに。ほんで、新幹線は明日の11時な」


青崎「……ほん。気をつけて帰れよ」


伊丹「はえ?」


青崎「なんやその間抜けな声は」


伊丹「え? お前はなんか予定があんの?」


青崎「別に予定なんかないけど。お前おらへんねやったら……そうやなぁ、どん兵衛でも買おうかと思うてる」


伊丹「どん兵衛……」


青崎「うん。5個ぐらいあったら足りるかな。年の瀬、年越し、年明け。関西風の出汁のほうがいいけど、別に関東風でもええわ」


伊丹「なんで一人でカップのそば食うねんな。予定何にもないんやったら、一緒に帰ろうや」


青崎「……俺別に帰るとこないし」


伊丹「アホいいなや。うちとこおとんもおかんも弟もお前が帰ってくると思って喜びで湧きたっとるのに」


青崎「……そうなん?」


伊丹「そらそやろ。社会人なってから全然顔見せてくれへんって、寂しがって死にそうな顔しとったで。嫌かもしらんけど、顔出したってくれよ」


青崎「別に嫌じゃないけど……家族の邪魔にならんか」


伊丹「ならんならん。うちのおかんなんか、お前のためにいろいろ、そらもう実の息子よりもお前に食べてほしくて、いろいろ作っとるよ。ほら、アホみたいに浮かれ散らかしてラインしてきよる。めっちゃうるさい。もう100お前に会える気でおるで」


青崎「…………」


伊丹「せやから、一緒に帰ろ」


青崎「……俺チケット取ってない、し、荷造りもしてへんけど」


伊丹「まぁそんな気してたから、チケットは俺が取ったわな。荷造りは今からでもなんとかなるやろ」


青崎「…………」


伊丹「いつまで変な顔してんねん。俺一人で帰ってみぃ、目に見えてがっかりされんのやで、辛い身やでほんまに」


青崎「……年末の帰省って初めてやねん」


伊丹「ええこっちゃ。俺の代わりに親孝行したってくれ」


青崎「……まぁ、そうやなぁ、おとうはんとおかあはんには恩あるわなぁ、この家住ましてもろてるし」


伊丹「せやろ。あの親ども、俺が帰るより絶対お前が帰る方が喜ぶからな。「雲雀くんはどないしてんねん」とか「あんたはともかく雲雀くんはちゃんと食べてんの」とか、日頃からうるさいうるさい」


青崎「……(ちょっと照れくさい)」


伊丹「真由里さんと悠真も来るて言うてたからな、今年はにぎやかな年越しになりそうやな」


青崎「……そこまで人来るんやったら、友成も呼んだったら。あいつ奈良やろ。日帰りできる距離やん」


伊丹「お! ええかも。連絡しとこ」


青崎「……浅草と上野やったら、今からはしごできるな。行くで、伊丹」


伊丹「んええ、せっかくの出来立てラーメンなんやから、ゆっくり食べさしてよ」


青崎「はよ買ってはよ帰りたいねん、俺は」


伊丹「ふふ、そうか。ようやく俺も楽しみになってきたな」


青崎「……待ってくれてる人がおるって不思議な気分やな。照れくさいけど、悪い気分じゃないわ」


伊丹「是非本人たちに言うたってくれ。きっと喜ぶ」

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