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喜劇  作者: 新原氷澄
16/16

喜劇 おまけ2

伊丹、青崎、友成の三人が喋っているだけの台本形式の小話です。

ちょっとした箸休め的に公開してみました。

楽しんでいただけたら幸いです。

伊丹「雲雀、車の免許持っとる?」


青崎「持ってないな。お前、大学の時取っとったよな」


伊丹「うん。最後に乗ったん教習所やけどな」


青崎「東京で運転するんか?」


伊丹「友成が車運転できるやん? 横に乗る時スペアで俺が運転できたらええよなぁ……って思ったんや。もっかい教習受けなあかんけど」


青崎「ええんちゃう。たまには友成のカバーしてやるんも」


伊丹「せやんなぁ。ちょっと調べてみようかな」



友成「車の運転ですか? 僕が教えましょうか」


伊丹「ええの?!」


友成「もちろん。横に乗ってお教えしますよ」


伊丹「でもこれ、事務所の車と違うん?」


友成「あ、こっちは僕のです。事務所のクルマと同じ型の車にしたので」


伊丹「ええええ?! なんで?!」


友成「あんまり僕自身車にこだわりないのと、乗り心地が良かったからですね」


青崎(ベンツやぞ……流石老舗旅館の一人息子)



友成「趣味は車の洗車です」


青崎「へぇ、そうなんや」


友成「というか、なにかを磨くのが好きなんですよね」


伊丹「なんかわかる。ピカピカになると達成感あるんよな」


友成「子供の頃は勾玉づくりにハマって……ひたすら地道に石磨いてました」


青崎「ほんで今はお笑い芸人の原石磨いてるって?」


伊丹「お、上手いこと言うやないか」


友成「なにかが仕上がっていく過程を見るのが好きなので、そういう意味ではマネージャーは僕の天職ですね」



伊丹「青崎〜〜運転する時一緒に乗ってくれ」


青崎「嫌ですね」


伊丹「敬語で断られた! 友成は横に乗ってくれるって言うたのに」


青崎「だって俺車の運転でけへんし。乗っても役に立たんぞ」


伊丹「そこはさぁ、コンビの相棒なんやから一緒に行くで!って言うてくれよ……」


友成「あ、それなら動画にしましょう。伊丹さんが車の運転に挑戦する企画で」


青崎「……!! 退路を断たれた」


友成「良いリアクション期待してますよ、お二人とも」



伊丹「いきなりベンツはちょっと緊張するよなぁ……」


青崎「横幅もデカいしなぁ。普通の車でもぶつけかねんのに」


友成「そんなに心配しなくて大丈夫ですよ。ブレーキとアクセルさえ覚えてれば何とかなります。……何とかします」


伊丹「んぐ……友成のコーチ、怖そうや……」


青崎「師匠も、「友成は親切やが優しくない」って一番最初に言うてたからなぁ」


伊丹「俺、ついていけるかなぁ……」


青崎「ほんでも運転できるようになりたいんやろ。きばれや伊丹」


伊丹「……せやな! レインボーブリッジ走ってみたいしな!」



~動画編~


青崎「青崎です。……伊丹が車運転するって言うから後部座席に乗せられてます。……非常に嫌です」


伊丹「ほんまに嫌そうや」


友成「助手席はマネージャーの友成です。よろしくお願いします」


伊丹「車の持ち主でもあります。この車でポカしたら俺が友成に〆られます」


友成「そんなことしませんよ。伊丹さんなら大丈夫だと信じています」


伊丹「友成……!」


青崎「いや、友成が信じてるのは自分の舵取りの能力やと思うで」


友成「安全運転で行きましょうね、伊丹さん」



友成「目的地が見えてきました。少しずつ速度落としましょう。ここでウインカー下に。はい。そのままゆっくり手前で停車。」


伊丹「……は、はい」


青崎「……はー、緊張した」


友成「はい、お疲れ様でした。上手だったと思いますよ。予習してきました?」


伊丹「それなりにやったけど……それより友成のナビゲートが完璧やった」


青崎「文句のつけようもなかったな。やっぱり運転上手いだけあるわ。友成の運転やったら寝れるもん」


伊丹「神経質な青崎が寝れるんやから、心地ええんやろな。俺がその域に行けるまではだいぶかかりそうやけど……」


友成「え? 大丈夫ですよ。すぐできるようになります。2〜30時間練習すれば」


伊丹「2〜30時間?! この緊張感で!?」


青崎「……伊丹の寿命縮むな」


友成「人乗せて走ってるんですから、多少疲れますよね。ここからは運転代わりましょうか」


伊丹「……たのんます」


青崎「教習所顔負けの指導してまだ走れるんか……自分のベンツを笑いのために貸し出した男はやっぱり違うな」



伊丹「レインボーブリッジも観たいけど……いつか大阪も走れたらいいよなぁ」


青崎「……そやな。皆でどっか行くのも楽しそうや」


伊丹「今年乗れるようになったら万博行けたのになー! まだ人乗せるのはちょっと不安や」


青崎「……俺は人多いとこあんま好きちゃうから」


伊丹「はは、そやな。まだ俺らには早いか」


友成「……というか、大阪での運転が大分早いです」


伊丹「え?」


友成「あの複雑な道路と運転マナーの荒さを考えると、お勧めできかねます。もう4〜50時間練習すれば……」


伊丹「増えてる! 練習時間増えることあんの?!」


青崎「まぁ……気長にやってけや」



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