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喜劇  作者: 新原氷澄
13/16

喜劇 Chapter.9.2

伊丹が東京に戻って来た後に、二人が出演したポッドキャストの台本です。

Chapter8、9と一部違うところがありますが、これは青崎が知らなかった体で書いた台本ということで、ひとつよろしくお願いします。

軽い気持ちで読んでください。

青崎「えー……最近いろいろ巷を騒がしてた通り、この人失踪しはりました」


伊丹「その節はどうもご迷惑を……」(マイクに向かって頭を下げる)


青崎「ほんまに大迷惑被ったわ。いきなりピンでの仕事入るし、皆口開いたらお前のこと聞いてくるし」


伊丹「ごめんなぁ。びっくりさしてしもたよな」


青崎「今日は全部説明してもらうぞ」


伊丹「……そうやな、ここで全部話するのがええと、俺も思っててん」


青崎「リスナーの人らもめっちゃ心配してくれててんからな。俺んとこめっちゃ電話かかってきた」


伊丹「せやんな。ほんま悪いことした」


青崎「いや、リスナーさんはいったん置いといても、俺には説明して行ってくれや」


伊丹「そやな。お前にも説明なしやったから。ほんまごめん」


青崎「ほんで結局どこ行ってたん? 北海道? 沖縄? インド? ノルウェー?」


伊丹「そない遠くまで行ってないんやけどな」


青崎「だって、リスナーさんから、ノルウェーで見たって目撃情報が」


伊丹「ノルウェーには生涯一度もご縁ないねんけど、逆にリスナーさんノルウェーでこのPodcast聞いてんの!?」


青崎「そら全世界どこでも聞けるんやから、ノルウェーで聞いてくれてる人もおるやろ。God dag! Hvordan har du det?」


伊丹「今なんて言うてん!」


青崎「Jeg hilste på det norske publikummet på norsk.Hurra! Hører du etter?(ノルウェーの視聴者に向けて、ノルウェー語で挨拶した。イエーイ。聞いてる?)」


伊丹「分からん分からん! ノルウェーのリスナーさんに向けてじゃなくて俺に喋ってよ!」


青崎「失踪しくさったくせに大儀なやつやな」


伊丹「ノルウェーからも聞いてくれてるのは嬉しいけど、大概の人は日本で聞いてはるやろ、これ」


青崎「それはまぁそうやな。一瞬お前がノルウェーに進出する気になったんかと思って、俺もノルウェー語勉強したんやけど」


伊丹「真面目! お前、ノルウェーまで一緒に行ってくれる気やったん?」


青崎「そら、相方が行きたい言うんやったらしゃあないやんけ」


伊丹「良い奴……分かった、ノルウェー行く気になったら言うわ。俺ノルウェー語ひとつも分からんけど」


青崎「それはまぁ置いといて、お前の失踪話に話戻そ。どこにおってん」


伊丹「……大阪」


青崎「大阪かぁ。大阪の地名でやらしてもうとるせいか、大阪からも何件か目撃情報あったわ」


伊丹「え! そうなんか。意外と見られてたんかな」


青崎「天満のラーメン屋でバイトしてたとか……万博の売り子やってたとか……あ、アメ村のアロハ屋で働いてたっていうのもあったな」


伊丹「ほんまか!? 茶髪で眼鏡やったら何でもいいと思ってないか!?」


青崎「眼鏡でくるくるの髪やったら当たり判定なんかもしれん」


伊丹「でも、そのへん全然行ってないな……なんなら万博にも行ってないんよ」


青崎「万博は逆に行っとけや。感想とか聞きたいやんけ」


伊丹「ガンダムぐらいは見て来るべきやったなぁ」


青崎「そやで。なんでもいいから吸収して土産持って帰ってこい」


伊丹「ぐうの音も出ん正論」


青崎「ほんで、万博も行ってないとしたらなにしとったん。夏休みの宿題?」


伊丹「それに近いかも。……実はなぁ」


青崎「ん? 閃いた」


伊丹「なに」


青崎「夏休みの宿題が近いんやんな」


伊丹「うん。まぁ、当たらずも遠からずかな。そんで……」


青崎「ほな俺が当てる」


伊丹「え?」


青崎「今のヒントだけでなにしてたか当ててみる」


伊丹「そんなことでけんの。探偵みたい」


青崎「せやろ。これで当てられたら大分かっこいい」


伊丹「うん。めっちゃかっこええわ。洞察力ありすぎる」


青崎「えー、ほな、マジであてに行くぞ。まず、UFOは出てくる?」


伊丹「出てくるわけないやろ!」


青崎「なんでやねん。探偵はありとあらゆる可能性を考える職業の人やろ」


伊丹「初手でUFOにさらわれた可能性考える奴は、絶対探偵向いてないよ!」


青崎「ほん。ほな別のにしよ。ヤクザとキャバレーの支配人と目が見えへんくなった女性は出てくる?」


伊丹「お前それ嶋野の狂犬の話やろ! 別にどっかの組にカチコミかけたわけとちゃうねん」


青崎「そうか……大阪といえば組と組の抗争と思ったんやけど」


伊丹「お前の脳内の俺、大分治安悪いことになってんな」


青崎「お前に無限の可能性を感じてんねん、俺は」


伊丹「好き勝手いじりたい故に?」


青崎「ゆえに」


伊丹「おい! 真面目に謝りに来たのに」


青崎「別に誰もそんなん求めてへん。元気で帰って来たんやから」


伊丹「青崎……」


青崎「お前が元気でやっとってくれたら、それでええねん。西中の仕事はお前がおらなでけん」


伊丹「おお……てっきりもっと怒ってるもんやと思ってた」


青崎「でも怒ってはおるから、なんもかんも嫌になったら、俺もお前みたいに飛ぼうと思う」


伊丹「ひぃ!」


青崎「みとけよ、一番忙しいいっちゃん人手いるときに飛んだるからな」


伊丹「宣言して飛ぼうとすなよ! めっちゃ怖い、失踪予告」


青崎「精々ピンネタ磨いとけ。俺もお前が泡食って動画配信するの楽しみにしとるから。ノルウェーまでおっかけてきてもええで」


伊丹「うう……ピンであかんかったらノルウェーで待ち合わせやな……」


青崎「大阪万博にもノルウェー来てんのか。行きたいなぁ、北欧館」


伊丹「なんか俺もちょっと行きたくなってきた。ノルウェー館の前で、Hører du etter?言いたい」

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