衝撃的な事実を知りました
結構私って、お転婆な部類だと思う。木登りもしたし、やんちゃな事もして来た。だけど……これは、人生初だよ。間違いなく、ジュリアス様もライド様もそうだよね。
確かに、熱くはないよ。
熱くはないし、息もちゃんと出来る。でも、水の代わりに、溶岩が流れている川の直ぐ脇を歩くなんて、考えもしなかったよ。
(さすがに、落ちたら死ぬよね……)
「大丈夫。落ちても死なないから、安心して。少しは火傷するかもしれないけど」
(少しの火傷って、赤竜王様の少しはどれくらいなのかな? 身体半分? それとも、死なない程度?)
人族の私たちより、かなり掛け離れてる気がする。それでも、骨まで焼ける状態から回復出来るのは流石だよね。
「妙な感心の仕方しないで。あのね、これでも、人族の脆さは知ってるよ!! 俺が傍にいるんだから、愛し子に怪我なんてさせるわけないじゃん」
腕の中にいる赤竜王様が、首だけこちらに向けて抗議して来た。
「そこは信頼してます」
「ユーリアって、話し方はすっごく淡々としてるけど、内面は正反対だよね。そういうとこ、好き」
声に感情がこもりにくいのは昔から。だから、子供らしくないとか、可愛げがないとか、大人たちに何回も言われていた。
でも、初対面で、当たり前のように内面を見てくれたのは、正直嬉しい。好きって言われたのもね。だけど、有り難みが少し減るのは、やっぱりこの軽い口調のせいだよね。
「酷っ!!」
ショックを受けた赤竜王様の目が、ウルウルとしだした。
「我も、前から注意しておるだろ。お前の話し方には、全く威厳を感じないとな」
『どこからどう突っ込んでも、遊び人だよね』
黒竜王様は溜め息混じりに言った。ハクアも追従する。
(あ〜あ、完全に赤竜王様、拗ねちゃったよ)
抱いている腕に少し力を入れると、赤竜王様が私を見上げてくる。
「私は別に嫌いじゃないですよ、その話し方。内面まで遊び人なら、距離取りますけど」
「内面は超真面目だよ、俺」
必死で訴えてくる赤竜王様の姿も、ほんわかしてて可愛い。
「それは分かってます。赤竜王様が古竜様たちの一柱として、きちんと役目を果たし続けてくれてるおかげで、今私たちはここにいれるのですから」
「「……ユーリア」」
何から何まで正反対の黒竜王様と赤竜王様だけど、ほんと仲が良いよね。
「この頃特に実感するんです。古竜様たちとハクアに、私たちは常に護られていると……ありがとうございます」
なんか、人族代表みたいになったけど、これが私の素直な気持ち。
私がそんな風に思えるようになった切っ掛けって、ハクアが私を見付けてくれたからだよ。それまでは生きる事と、両親の事で頭が一杯だった。そう考えると、かなり狭い所しか見ていなかったよね。あの閉鎖的な村では仕方ないけど。
「…………俺、泣きそう」
「うむ、我の目に狂いはなかったな」
『ユーリア、僕を受け入れてくれてありがとう!! 僕も大好きだよ』
三者三様の感想を述べてくれた。ハクアが黒竜王様の身体を踏んで、器用に私の頬にスリスリしてくる。くすぐったいけど、とっても幸せ。
「……やはり、毛は必要アイテムなのか」
黒竜王様が真剣に悩み始めたよ。
「前に言いましたよね、黒竜王様。モフモフとは違う良さがあるって。毛が生えた黒竜王様を見たら、たぶん引くと思います」
想像したら、笑っちゃったよ。だって、おかしいんだもの。
「そ、それは困る!!」
「だったら、この話は終わりで。それより、何故赤竜王様は、火山を住処にしているのですか?」
(火山以外にも、人族が来ない場所が沢山あるのに)
「それは、俺が火を司る神だから。こういう場所の方が落ち着くの」
(なるほど。火が関連する場所で、誰も来ない場所といえば火山だよね)
合点がいった。
「つまり、それぞれ古竜様は、司るものに関連した場所を住処にするんですね」
「そうだよ」
赤竜王様の返事に、私は首を傾げる。
「だったら、黒竜王様は? 違いましたよね」
黒竜王様の住処を思い出す。訪れたのは夜だったけど、とっても神秘的で心が温かくなる場所だった。
「そうでもないぞ。何故なら、我の住処には朝は来ぬからな」
(そんな場所があるの?)
普通ないよね。でも、黒竜王様がそう言うんだからそうなんだよね。気になるから、遠慮なく訊いてみた。
「朝が来ない? それは、夜のままって事ですか?」
「我の住処とその周辺だけだがな。他は、朝が来る。そうでないと、身体を壊す者もいるからな」
「あぁ、あの灰色狼さんとリスさんですね」
(また、会いたいな)
あの少しゴワゴワしたモフモフも捨てがたいからね。あのリスさんの尻尾は最高でした。
「今度、我の家に遊びに来たら遊んで行くといい。マヨイも喜ぶ」
マヨイさんって、黒竜王様の侍女さんだよ。
「いいんですか!? マヨイさんの紅茶とお菓子、とっても美味しいから楽しみです」
「……ユーリアって、ほんと、モフモフが好きだよね」
赤竜王様が会話に入って来る。
「はい、大好きです!! あっ、もしかして、ここにもモフモフがいるんですか!?」
さすがに、ここで生きていける動物なんていないと思っていたよ。嬉しい誤算だね。
「いるよ。炎狼って呼ばれている狼が」
赤竜王様が炎狼って言った時、ずっと黙って空気化していたジュリアス様とライド様が、「「えっ!?」」と小さく声を上げた。
「どうかしたの?」
私はジュリアス様とライド様に尋ねた。
「……炎狼は、SSランクの魔物です」
おずおずと古竜様たちを伺いながら、ジュリアス様が教えてくれる。
(え――!! SSランクって、国滅ぼせる魔物の事だよね!?)
「人が勝手にランク付けしたようだが、あながち間違いではない。一頭で、簡単に国を滅ぼせるな」
黒竜王様のお墨付きを貰いました。
「……因みに、黒竜王様の所にいた、灰色狼さんとリスさんは?」
「黒狼と闇の精霊王だが」
衝撃的な返答に、私たち人族は完全に固まった。冷や汗がタラリと落ちる。
黒狼も炎狼と同じ、SSランクの魔物だって言うのはまだ分かるよ。
(なんで、あの可愛いリスさんが闇の精霊王なの!? 精霊王って何!?)
私、知らなかったとはいえ、取り返しの付かない不敬をはたらいたよ。思いっきり、リスさんの尻尾を堪能しちゃったよ。
「我が許しているのだ、別に構わぬ」
(でしょうね。主が認めてるから何も言えないよね!!)
今度会ったら、速攻謝らないと。マジで、そういう事前情報、前もって教えてほしかったよ……
新年、明けましておめでとうございます。
今年も、頑張って書いていきますね。
読者の皆様にとって、よい一年でありますように。




