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鑑定前夜

新連載スタートです。

楽しんで頂けると嬉しいです。


 小さい頃から本が大好きだった。

 

 貧乏だけど、何故か家には本棚一杯に本があってね、よく読んでいた。


 本って凄いと思う。簡単に持ち運び出来る大きさの中に色んな世界があって、色んな事を知る事ができるから。冒険小説なら、ハラハラドキドキした世界に飛び込めるしね。でもここ最近は、冒険小説はお休みしてる。もっぱら読んでいるのは、魔法などの学術書。それはそれで、とっても面白い。


「これなら、ユーリアでも理解出来ると思うよ」


 セシリアが数多くある書物から選んで持って来てくれたのは、魔法力学の基礎本だった。


「ありがとう」


 私は早速、学術書を開く。


「分かりそう?」


 セシリアが訊いてくる。


「はい。これなら、私にもなんとか理解出来ます」


 私は視線を学術書から離さずに答えた。


 今、私がいるのは、ポーラット聖王国を代表する超名門校、ポーラット王立魔法学園の図書館。


 超平凡な平民娘が、到底通える筈がない学園なんだけどね……例外が一つあって、【聖女】の【スキル】を持っていたら、最低限の学力でも入学出来るの。というか、法律で通うよう定められている。


 私の場合は、その【スキル】だけじゃなかったけどね。


 構わなくて退屈したのか、ハクが学術書を枕にして寝息を立ててる。そう、何故か、聖獣様に気に入られたのよね……


 たった半年でここまで、生活が変わるなんて思わなかったよ。





 半年前、私は小さな小さな村に、家族三人で住んでいた。辺鄙(へんぴ)過ぎて、月一来る行商の人が輝いて見える程の場所。


 私は村から出た事ないから、よく分からないけど、村の人は基本、温かくてゆったりしてるかな。そんな中で、土地柄関係なく、私の家族はお人好しなの。それも、超が付く程のお人好し。


 まず、人を疑わない。疑う事が悲しいからという理由でね。よくそれで、今まで無事に生きて来られたって本気で思ってるわ。


 なので、すぐ人に利用される。些細(ささい)なものだけどね。


 貧乏なのに、人が良いから、頼まれたらすぐにお金を貸すんだよね。困った事に無利子で。幸い貧乏だから、貸せるお金は限られてるせいか、借金がないのがせめてもの救いだよね。でもそのせいで、生活は苦しい。あと、やたら家には犬や猫がウロウロしてるの。可愛そうだから拾って来るんだよね、両親が。普通、反対でしょ。


(正直、ないよね〜)


 何度怒って訴えても、両親は苦笑しながら謝るんだけど、根っからの気性だから直りはしない。もう諦めたわ。


 だけどね、そんな両親が大好きなの。とってもね。


 だから、これ以上、生活環境が悪くならないようにするには、私が防波堤になるしかないよね、必然的に。他に兄姉いないから。


 今ね、お母さんのお腹の中に赤ちゃんがいるの。頼りがない両親と生まれてくる妹か弟のために、お姉ちゃん頑張るから元気で生まれて来てね。


 大きくなったお母さんのお腹を撫でていると、ポコポコと元気よく蹴ってる。臨月だってお母さんが言っていたから、もうすぐ会えるの。すっごく楽しみなんだ。


「ユーリア、七歳になったばかりよね」


 仲良く並んでソファーに座っていると、お母さんか私の頭を撫でてくれた。


「うん。そうだけど、どうかしたの?」


 お母さんの優しくて温かい声に、私はにっこりと微笑みながら答える。


「だったら、教会に行かないといけないわね」


「教会? あっ、そうか、【鑑定】を受けなくちゃいけないんだよね」


 この聖王国に生まれた子供は、貴族、平民関係なく、七歳になったら、教会で【スキル】の【鑑定】を受けなくちゃいけないの。法律でそう決まってるからだって。


 その日は、偉い神官様が来て、ちょっとしたお祭り騒ぎになるの。人混みは苦手だけど、参加したら王都のお菓子が貰えるから内心楽しみにしてる。こんなど田舎じゃ、絶対食べられないからね。


 お父さんの【スキル】は【木工職人】で、お母さんは【針子】。


 なら、私も職人系よね。親の系統を引き継ぐのが大半だって聞いてるし、私的にはその方がいい。幼馴染の男子は【剣士】がいいって言ってる。どっちにせよ、手に職を付けたら強いよね。何処でも働けるし、家族も護れる。それなら、危険じゃない方がいいよね。


(知りたいけど、ちょっと怖いな……)


「怖がらなくても大丈夫よ、ユーリア。【スキル】はね、神様からの贈り物なの。それに、優劣はないわ」


(優劣はあると思う……系統は違うけど)


 口には出さないよ、悲しむから。それにしても、お母さんって凄いよね。不安な気持ちがスーと消えちゃた。


「そうだよね。お母さん、大好き」


「私も大好きよ」


 そう言いながら、お母さんは私の頭を撫でてくれた。それだけで安心するよ。


 この時の私は、自分の【スキル】が、とんでもないものだって思いもしなかった。そしてその【スキル】が、私の人生を大きく変える事になるなんて考えもしていなかったの。




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