魔族の歴史
どうぞ。扉越しにドアをノックした人…いや魔族に言った。その魔族がドアを開いた。
そこに立っていたのは、とても愛くるしい顔の少女だった。
「あなたがお兄様を助けたのね。料理を持って来たわ。ねぇ、どうしてお兄様…いえ、魔王を助けたの?」
不審そうに彼女が聞いて来た。声まで可愛くて、やばい、めっちゃ頭を撫でたい。
質問の内容が入ってこないぐらい、少女の可愛さに夢中になった。
「ん…お兄様? あなたは、魔王様の妹さん?」
マジかー。美形兄妹かー、興奮するぅ。
「そうよ。ちょっと質問を質問で返さないでくれる?」
「いやーごめんなさい、あまりにあなたが可愛くて見惚れちゃって、話しあんま入って来なかった。」
「なっ…」
彼女の顔が真っ赤に染まった。
「わー照れてる姿もやばい〜これは写メ撮りたい。ねぇねえお友達になって〜なんて名前なの? あっ私の名前は、どうしようかな?」
私の名前なんて名前にしよ? 現実世界の名前名乗るべき? うーん、後で神様と決める?
「うるさいわね、あなた。どうしようかなって変な名前。私は、アルマって言うの。耳が痛くなるから少し大人しくして欲しいわ。」
美少女に叱れてしまった。うーだってだって、もう〜色々気になる。歳はいくつなんだろうか?
「……。」
私は黙った。沈黙は金かしら?
「……。」
彼女も黙ってしまった。しばらく彼女の返答を待った。
「あなた、急に黙るなんて…極端な性格してるって言われない? 素直なのは良いけどさ。」
ため息を吐いて、アルマが呆れる様に言う。
「言われます…お恥ずかしながら。」
顔を赤らめ、私は気まずそうに言った。
「とりあえず食事をどうぞ。私はこれで。」
彼女が部屋から出て行こうとしていた。
「えー一緒に食べないの? 食べよー。」
私はアルマと食事したくて頼んだ。
仲良くなりたい、心からそう思った。
「はいはい、分かったわ。なら私も自分の食事を持ってくるから、それじゃ、また。」
そう言って、彼女が部屋を出た。
かつやったー。嬉しい。」
「はぁ〜呑気な。君はなんて愚かなんだ。」
神様が呆れていそうな言葉を吐いた。
「良いじゃん、別に。それよりこの世界の事、アルマが戻る前に教えてよ。
それと神様がどこまで出来るのかとか。」
「分かった、耳をかっぽじって良く聞くんだよ?」
神様の視点過去の話し
まず、この世界の魔族の歴史を説明するよ。
最初に召喚したのは、ヴィアベルって青年だ。
彼は世界の秩序を安定させる為に召喚した。
しかし…結果は、彼は世界の平和より、1人の魔族の女性との恋を優先させた。
君にはその轍を踏まないで貰いたいから説明する。
魔族の女性が人間にとどめを刺されそうになっていた。それをヴィアベルが、助けに行ったところから話しは始まる。
これは夢?
いいや、現実だよ。君を助けに来た。
私は…無理だよ…死ぬ前にあなたに会えてよかった。
目が霞んでいく…もう。
今回復魔法を掛ける。大丈夫助かる。
…凄い…傷が治ってく。でも、私を助けたら、あなたまで殺されてしまう。魔族に味方した人間は、殺されるのよ。
「君を守る。心配は要らない。僕は、こいつらを倒す。同じ人間であっても、君の為なら全てを捨てる覚悟だ。」
「どうして? そこまで…私なんてほっとけば、あなたは普通に暮らせたのに。」
「それは…君を愛してるからさ。君を失うくらいなら、普通の生活なんて惜しくない。」
「私も…ヴィアベルあなたのことを愛してる。」
「ふん、魔族に味方するのか? 魔族は、悪魔だぞ。そんな者を助けるなんて。」
人間のリーダーと思わしき女性が、軽蔑の眼差しをヴィアベルに向けていた。
「それは全ての魔族がそうとは限らない。俺は彼女を信じている。人の心を持った、美しい女性だってね。」
ヴィアベルが、人間のリーダーに語りかけた。
「神様僕の力を今解放してくれないか? あなたの力が必要だ。出なければ、僕はここで死ぬだろう。」
ヴィアベルが神である僕に頼んだ。それを僕は受け入れた。
だがその力は余りにも巨大だった。人類の半数を死滅させるほどの力だった。
彼等との戦いの後ヴィアベルは人間でありながら、初代魔王となった。
これがこの世界の魔族の歴史かな。神である僕は、説明した。