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閑話 刹那と罰音

 この話は考察するのが好きな方は読まない方がいいかもしれません。

 ただ、あまり考えずに読みたい方は読んでいただけると話が理解しやすくなるかと思います。

 1965年頃です。

 蝉の煩いこの季節、7日位騒がせてやろうという温厚な考えのもと蝉がおらず涼しい別荘に避難している。


「ねぇねぇ、セツナセツナ!」


 少女らしい甲高い声は少し耳障りだ。もう少し貫禄のある声を出してほしい。


「なんだなんだ?罰音罰音!って言えば良いのか」


「ここは別荘じゃなくて人ん家だよ」


「神様の神社だよ」


 ツクヨミさんも夜璃さんも寛いでいってねって言ってくれたから大丈夫だって、一夏くらい。


「あの人たち日帰りだと思ってるって」


 せっかく蝉のいない所に来たというのにどこからともなく湧いたちびっ子が騒がしい。

 ちびっ子とはいえ、もう40歳も近い俺には少し妬ましい。

 同い年のはずなんだがな。

 つまり、かなり煩い。


「それ年齢関係ないじゃん!!」


「心を読むな心を」


「どっかお出かけしよーよ、いい天気だし」


「曇ってんじゃねーか」


「だからだよ、晴れなんてこの季節はバテちゃうよ」


 俺らがバテる暑さって気温80℃くらいだぞ。

 まあ、出かけるのは問題ない、ベル様は月読さんとどっか行ったし。


「この神社涼しくていいよね、やっぱここにいようか」


 勝手にしろ、ここうちの神社じゃねーし。


「あっ、これみてー」


「やだー」


 そんなこと言わずにさ~。とでも言うようなテンションで俺のピアスを引っ張る罰音。


「ダイコクさんには感謝だねー」


 彼もきっとこんな役立ち方は望んでいないだろう。


 俺の左耳とこいつの右耳についた2つを合わせるとハートになるピアスもあの方に貰ったやつだ。柄が気になるところだが、つけてると病気にならない効果もついているらしく外せない。

 そのため俺たちが外を歩くとかなり痛々しく見えるだろう。


 彼女は満更でもないようだが。


 「刹那だってそーでしょー」


 無視だ無視。


 なんで方っぽずつなのかはわからんが。

 夜璃さんがニヤついてたからきっとろくなことじゃないだろう。


「結局でかけねーのか?」


「んー」


 肯定とも否定とも取れる返事はきっとどっちでもないただ返事だろう。


「それじゃあ、天照さんとこでもいくか?」


「やめなよ、喧嘩売りにいかないで」


「大丈夫だって安めにしとくから」


「そっか」


 そのほうが買われやすいことにはお互い触れなかった。


 結局この日は出掛けずに神社でぐーたらとふたりで過ごした。


 元気で人並みにお洒落に気を遣う彼女は、巫女なことを除けば普通の女の子だった。



 




 


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