第3章 草原へ
「もう歩き始めてから4時間もたってる。休憩時間が長かったか。もう少し早く歩こう。」
剛はつぶやいた。そして早歩きに歩き方を変更した。しかしそれで10分も歩くと足が痛くなった。普段あまり運動しないからだ。
「くっそー。こんな孤独に歩いていたらさみしいし足もいたいし。まだまだ150km以上あるのにもう足が痛くなるなんて。」
その時携帯のメール着信音が鳴った。
『今は孤独で大変つらい旅を送っていると思います。まあ、それを指示したのは私ですけど。言っておきなすけど私はgpsであなたの居場所を把握しています。ちなみに今は出発してから10kmほどのところにいますね。このペースだと絶対に間に合いません。なのであなたの居場所から10km先のところに草原駅という場所があります。そこに16時30分に私の同級生の男性が来るようにしてあります。その男性は北山峠まで一緒に歩いてくれます。元気をもらえることでしょう。もし17:00までにそこにつかなかったらその男性には帰ってもらいます。その場合、孤独を頑張ってください。
新貝雅子。』
剛はその男性がすごく気になった。そして一気に力が湧き、水を一口飲むとどんどん歩き始めた。そこで人にすれ違った。
「こんにちは。」
「こんにちは。旅でもしているんですか。」
「はい、そうなんです。」
「へえ、それは大変ですね。このチョコパンをあげるから旅を頑張って。」
「はい。ありがとうございます!」
剛は涙が出そうになった。こんなに優しい人がいるとは。今まで何回か歩き旅をしている人を見たが、そんなことは一回もしたことがない。
「はいはい。お礼はいいのよ。頑張ってね。」
「はい!!!」
剛は元気づけられた。
そして16:20分。草原駅に到着した。草原駅は比較的大きい駅で近くにいろいろな店がある。そこで剛は近くのコンビニに入ってお気に入りのお菓子を食べた。駅のロータリーの椅子でお菓子を食べていると、雅子からメールが来た。
『もう着いたようですね。あと10分ほどで男性が来ますから待っていてください。』
すると剛はまた計算を始めた。
10kmを2時間20分、つまり140分で歩いたっていうことは、
10÷140✕1000で分速約71.4メートル。
これは歩くにしては上等な時間だ。あと140kmほどある。140kmは140000mだから140000÷71.4でゴールまで1960分。これは32時間30分ほど。休憩などを入れたらちょうどいいか、もう少し早い方がいいかもしれない。
「がんばるぞ!」
剛は意気込んだ。するとあの男性が現れた。
第4章へ続く。