第2章 剛のグダグダな歩き旅の初盤
早速剛は颯爽と歩き始めた。彼の心はすがすがしい風の中を歩くことでどんどん清められていった。
出発して10分、とても太い国道に出た。ここをずっと歩いていけば目的地に着くのだ。国道を歩いていくと標識が見えた。新進5km、北川峠35km、名取60kmと表示されていた。
「よし、日付が変わるまでに名取までは行きたいな。」
剛は目標を決めた。彼はとても数学が得意だ。彼は名取まで日付が変わるまでに歩くには1時間当たりどのくらいの速さで歩けばいいのかをベンチに座って紙に書いて計算した。
今は午前10:30だ。残り13時間30分ある。これを13.5時間と考えると、次の式が考えられる。
60÷13.5
この式の答えは4.444444......... となり約時速4.5kmで歩けばいいのだ。新進と北川峠も当てはめると新進は1時間と少しということで目標は11:40頃、北川峠は8時間かからないぐらいということで休憩時間もいれて18:30ということになる。しかし剛はあることに気が付いた。
「あれ??? 北川峠っていうことは、峠越えじゃないか!!!! この計算では絶対に間に合わない。どうすれば?」
彼は気づいていないかもしれないが今こうやってベンチで計算している間にも時間は過ぎているのだ。もう計算を始めてから15分もたっている。
「まあいいや。後から考えればよいか。」
彼は気楽だという性質を持っている。
「あ! こんなことをしている時間はない。急がなければ!」
まだ1.5kmしか歩いていないのにもう45分も過ぎている。とてもグダグダだ。
歩き始めて2時間経つ12:30、彼のお腹はグーグーとなりっぱなしだ。ここは新進をちょっと超えたあたりにあるスーパーだ。彼はここで軽く弁当を食べた。そして新進駅で写真を撮り、妻に送った。
『ただいま新進です。』
『OK、頑張ってね。期待しているよ。」
14:00、彼は北川峠に向かって歩き始めた。
第3章へ続く。