第1章 旅へ出発
これからもよろしくお願いします。
ある朝、鳥のさえずりが鳴ると同時に目が覚めた。
「あ――朝か。もうそろそろ起きるか。」
彼の名前は新貝剛、30歳、サラリーマンだ。今日は短い短い1週間の夏休みの1日目だ。彼には妻もいる。名前は新貝雅子、27歳。彼と一緒に楽しく暮らしている。
彼らにはまだ子供はいない。
剛はいつも通り2回の寝室から妻のいる1回へと降りた。そしてドアを開ける。するといつもそこにいるはずの妻がいなかった。そこには置手紙があった。
『剛君。私は朝1番の列車で私の実家、正野市に帰りました。あなたはここまで歩いてこれますか? もし歩けたら成功報酬として一番好きな食べ物を半年分プレゼントします。そしてパーティーも開きましょう。これはあなたへの挑戦状です。あなたはこの成功報酬を見て本気になったと思います。あなたの本気になった時の力を結果で示してください。制限時間は今日8月12日正午から数えて48時間後。つまり8月14日正午までに私の実家に到着してください。別に正午から始めなくてもいいですよ。道のりは約180kmほどあると思います。途中、道中の写真を送ってきてください。鉄道、バス、タクシーなどは絶対に使わないでください。それでは頑張ってください。新貝雅子。』
雅子の予想通り剛は成功報酬を見て本気になった。そして歩いていくことを決意した。今は朝の8時。できるだけ早く家を出たいが準備も大事だ。財布を開けると中には1万円札が1枚入っていた。剛はもう1枚1万円札を入れた。すぐにリュックサックを用意し、財布、スマホ、モバイルバッテリー、ノート、筆記用具などの物を入れた。食料や水はあまりたくさん持っていくと重いので水は500ccペットボトルだけ入れて、食料はクリームパンを一袋入れた。
剛は紙の地図を見た。ここ神草市から正野市までは雅子の言った通り180kmほどある。最短でいくにはこの付近を通っている国道を通っていくとよさそうだ。しかし途中に峠越え区間もある。地図をリュックサックに押し込むと、剛はリュックサックをしょって楽しそうな表情で家を出た。
剛は雅子にメールを打った。
『8月12日午前10時。ただいま家を出ました。頑張ります。』
第2章へ続く。