こんな俺が異世界転生
俺はどこにでもいる25歳の平凡なサラリーマン花咲歩、独身生活は今年で6年目、趣味はアニメ鑑賞、 これといって特技といえるものはなく…普通のどこにでもいる平凡なサラリーマンである。
俺は今日も仕事に行く「はぁ仕事か…」最近仕事に行く前にはこの言葉が出る。理由はまあなんというか色々あるけれど最大の原因は俺が平凡であるから。
平凡じゃなかったらとか才能があればと思う日は少なくなく最近日に日に強く思うようになっている。そんな中俺は歩きながら会社に向かう途中昨日みたアニメのことを思い出していた。
平凡な日常から一転、異世界に飛ばされて魔王を倒す物語、俺はまだ1話しか観ていないのだが、なかなかに引き込まれる作品だったのを覚えている。「俺も異世界行きたいな」と苦笑していたらいつの間にか会社に着いていた。扉の前に俺は立つ、1回の深呼吸変わらない職場を確認して「相変わらず…」小さい会社だなっと苦笑いしながら会社の扉を開ける。
あれ、なんだ、これは、え、は?俺は目の前の景色をみて立ち尽くしてしまった。言葉が出てこなくて現実なのかそうじゃないのか分からなくなって…扉を閉める。1回の深呼吸をして再度開ける、それでもやはりそこにはみなれたデスクではなく毒々しい紫色の空が広がり、花一つない枯れた大地が広がり、数えるのも億劫なくらい人や獣が死んでいた。恐怖、絶望、憎しみ、という言葉が良く似合う光景を見て俺は「なんだこれ」とありきたりな感想を言葉に出して足を踏み入れる。人と獣の悪臭で満たされて2つ目に思ったことは「ここは地獄」。
俺は歩いていた、生命を求めてただひたすらに真っ直ぐ、足を止めたら死ぬと直感していた、だから俺は歩く。もうどれくらい歩いたかは分からないがしばらく歩くと遠目で見えるくらいに大きな壁があった。近付いてみると高々とそびえ立つ大きな壁が目の前にある「なんだこれ」またもありきたりで平凡な言葉が出てくる。「そこにいるのは誰だ!」不意に大きな声でまた多少の恐怖が混じったような声で呼ばれた、俺はすぐに振り向き声の主を確認するとそこには、鎧というにはあまりに軽装で私服というにはあまりにガチャガチャしている男を2人確認する。男たちは槍を構えて俺に問う「貴様は敵かそれとも…」質問を聞き終わる前に俺は頭を下げてこういった「殺さないで」何故この言葉が出てきたのかは分からないがこれが最善と俺は思ったのだろう、これを聞いた男たちは俺に手を差し伸べ「悪かった」と謝罪し、「こちらに来い」と俺を壁の中に入れてくれた。
壁の中には村があった、大きくはないがそれでも外に比べれば安心できる村だった。村の中央に他と比較すると少し大きめの家がありそこに案内された、中に入るとそこには革製の椅子に座る女の人が1人、その両隣に立っている秘書らしき人が2人。どちらも女だった。俺は失礼だが「この人たち29くらいかな」と心の中で呟いた。女を目の前に男たちは片膝を床につけて頭を垂れる、俺はというと何も出来ず立ち尽くしていた。革製の椅子に座っていた女が口開く「頭をあげて」と次に俺に向かって「初めまして」と言葉を向ける、咄嗟に俺も「初めまして」と。それから椅子に座っている女は名を名乗る、「私はアイリ」相手が名乗った以上俺も名乗る、いやまぁ多分相手が名乗らなくても名乗っていたのだが…「俺は花咲歩」それから次に俺が口を開いてこう問いた「ここはどこ?」アイリは俺の問いに「ここ?」首を傾げてこう返した。
頭をあげた男のひとりが「この者は迷い人かと…」とアイリに告げる、アイリは全てを諭した顔で俺の方を向き先程の俺問に答えをくれた「ここは全てが行き着く都魔法都市マグナ」。
俺は昨日見たアニメを再び思い出して全てを諭した「異世界に来ちゃった…」