【スキル】えっ‼馬車も使わず一瞬で街まで⁉ できらぁ‼【使ってみた】
そうか、よく考えりゃ元神様だもんな。人間とは年齢も桁違いってわけか。
それはともかくとして、俺はドアを開けて外へ出た。
よく晴れていて、なおかつ涼しい。こんなふうに過ごしやすい気候なのも、俺がこの土地に移り住んできた理由の一つだ。
ただ、過ごしやすさだけで土地を選んでしまったせいで、街は遠いし道路もあまり整備されていない。周囲に人は少なくて物静かだし、余生を過ごすにはうってつけの土地なんだけど。
「レルさん、どうやって町まで行くですか?」
「いつもなら相乗り馬車に乗っていくんだが、あれはあまり乗り心地が良くないからな」
「それなら、どうしますです?」
うーん、どうしよう。
俺の足がめちゃくちゃ速ければ、フィアを背負ってひとっ走りなんだけど。
俺の足が速ければ……ん?
「そうだ。こういうのはどうだ?」
「何か閃いたのです?」
「ああ、まあ見てな。【ステータスオープン】」
俺はフィアがやっていたように、あの四角い窓を表示した。
「フィア、この中で俺の速さを表す数字ってどれだ?」
「これです」
フィアが指さしたところには、『78』と書かれていた。
「よし、じゃあこの数字の桁を増やして、と」
「あっ」
「なんだよ、フィア」
「もしかして、素早さの数値をいじって足を速くしようとしてるです?」
「まさしくその通り! 百倍なんかにすれば、一瞬で街まで到着だぜ!」
フィアが難しい顔をして腕を組む。
「うーん、確かに素晴らしい考えです。それが不可能だという点に目を瞑ればですけど」
えー、嘘ぉ!?
「ど、どうしてダメなんだ?」
「レルさんの体は普通の人と変わらないです。そんな人が限界を超えた速さで動けば、ひどいことになりますですよ?」
「ひどいことって、例えば?」
「全身の筋肉がズタズタに引き裂かれて、内臓も破裂するです。ちょっとしたスプラッター状態ですね」
「うっ」
言われてみれば、確かにその通りだ。せっかく若返った体を傷つけたくはない。
くそー、せっかく手に入れた能力なのに、まだベッドしか増やせてないじゃないか。何かいいアイデアはないのか?
この、『ケタを操る能力』で……。
まてよ、桁を操る?
「なあフィア、俺のスキルはケタを減らすこともできるのか?」
「当然出来ますですよ」
「なるほどな。今度こそ閃いたぜ」
「おおっ、さすがレルさん! アイデアの宝石箱!」
「褒めるなよ、照れるぜ。よしフィア、俺に掴まれ!」
「わ、分かりました!」
フィアが俺に体を寄せる。俺は左腕でしっかりその体を抱きかかえた。
そして、街までの距離を表示する。
「いくぜ、ワープだ!」




