【年齢を】買い物へ行こう!【聞いてみた】
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「じゃあとりあえず、あれだよな。服がいるよな」
「あっ、お買い物ですね!」
「せっかくだから食料とかも買っておこう。すぐに準備をして……」
「あのっ、レルさん」
「どうした?」
「私もついていきたいのですけど……」
「ああ、いいぜ。ついて来いよ」
「でもでも、着ていくお洋服がないのです」
「あっ」
フィアに着せる服を買いに行くための服がないとは。
さすがに今の、毛布を体に巻き付けただけの変質者ファッションじゃ外を出歩けないだろう。
きっと自警団か変態が寄ってくる。どちらともあまり関わり合いになりたくはないが……。
「仕方ねえ。俺の服でよかったら貸せるが、どうする?」
「レルさんのお洋服ですか? いいんですか?」
「そんなに綺麗じゃないし、そもそも男物だけど」
「いえいえ、私は構いませんです」
「そうか。じゃあ一番サイズの合いそうなやつを持ってくる」
それで、十分後。
「……ふむ」
「ど、どうですか?」
俺の作業着用に買っておいたなんの飾り気もない麻のズボンとシャツだが、フィアが着るとあっという間に美人モデルの最新ファッションに早変わりだ。
男物でぶかぶかのはずなのに、ルーズな感じが逆にシャレオツな感じ。いや、シャレオツって死語か。おしゃれな感じ。
「案外、よく似合ってる。すごくいいよ、フィア」
「えへへ、レルさんに言われると嬉しいです」
フィアが笑うと、その周囲がまるで明かりが灯ったように明るくなる。
これが(元)聖女の力か……!
俺はなんだか胸の奥がときめいた。
「じゃ、じゃあ、行こうか」
「はいです!」
俺の後ろをトコトコついてくるフィア。
それにしても、体が軽い。やっぱり若返りの効果だな。
ちょっとジャンプとかしてみようか。
ぴょん。
おお、軽い! 関節が痛まない!
「急に跳ねたりして、どうしましたです?」
「あ、いや、なんでもないんだ。こんなに体が自由に動くのは、それこそ若い時以来だからうれしくてさ」
俺が言うと、フィアも微笑む。
「私は、そうやって喜んでいるレルさんを見ると嬉しくなりますです」
「ん……そう、か?」
気づけばフィアの金色の瞳に見入っている俺がいた。
いかんいかん、正気を保て、俺。
相手は元とはいえ聖女。それに、ぴちぴちの花盛りだ。俺にとっちゃ高根の花。釣り合わない釣り合わない。
あれ、待てよ。
「なあ、フィア」
「なんですか?」
「フィアって今、何歳なの?」
「むっ、女の子に年齢を聞くなんて失礼ですっ!」
俺をからかうように、大げさな様子でフィアが頬を膨らます。
「ご、ごめん」
「でも、レルさんなら許しちゃいますです!」
「あ、そう?」
ラッキー。これが恩人効果ってやつだな。
「ちなみに私の年齢は十万と十八歳です!」
……けっこう年上だった。今明かされる衝撃の事実。




