【聖女】同居人爆誕【慰めてみた】
フィアは大きな声で泣き始めてしまった。
「お、おい、落ち着けよ。天界に帰れないってどういうことだ?」
「天界は神様以外立ち入ることが許されない場所なんです。それに、神様の力がなければ天界へ行くこともできないんです」
俺の質問に、フィアはしゃくりあげながら答える。
「つまり、あれか? 俺がお前の力をもらっちゃったからいけないのか? 返そうか?」
「レルさんにお渡ししたのはスキルだけです。それを返してもらっても、私がそのスキルを使えるようになるだけで、神様の力は戻らないです」
「じゃあどうすりゃいいんだよ」
「どうしようもないんです……」
あっ、でも、そうか。
フィアが神様じゃなくなったから、フィアは裸を恥ずかしがるようになったのかもしれない。
それは俺たち人間が虫けらの裸(?)を見てもどうも思わないのに似ている。
つまり、種としてのレベルが違いすぎたから、フィアは俺に裸を見られても気にしなかったし、俺もフィアの裸を見ても何も感じなかったわけだ。
なるほど納得。
うう、と再びフィアが目に涙を浮かべ始める。
「なあ、フィア、泣くなよ。な? きっと何か方法はあるはずだ」
「で、でもぉ、その方法をどうやって見つけるんですかぁ」
「俺も協力するよ。二人で探せばきっと見つかる。それで、お前が天界に戻れるようになるまで、俺の家で暮らせばいい」
あ、ちょっと待って、なんかこれ口説いてるみたいだな。嫌がられないかな。
「え? いいんですか?」
俺の心配とは裏腹に、フィアの顔が明るくなる。
「あ、ああ。もちろんお前さえよければの話だけど」
「モチのロンです! でも、本当にいいんですか?」
「ああ。フィアみたいな子なら俺だって大歓迎だ」
「私みたいな子?」
「あ、ああ、いや、なんでもない。とにかく俺の家に住んでオッケーってことだよ」
危ない。フィアみたいな可愛い子って言いそうになった。
俺みたいなおっさんに褒められたって、若い子は嬉しくないに違いない。
「私も、レルさんみたいな素敵な人と一緒なら……」
フィアが俺から顔を背けながら言う。まさか、照れてるのか?
「おいおい、冗談よせよ。俺はただの中年だぜ。冒険者として成功できず、田舎に逃げてきた凡人だ」
「でも、レルさんがここにいてくれたおかげで私たちはこうして出会ったのです。これって、運命ではないのですか?」
「運命」
「そうです。私とレルさんは出会うべくしてであったのです。運命的な出会いですよ!」
ぱっと顔を輝かせるフィア。
そっかー、運命的な出会いかー。
結婚式なんかで『二人は運命的な出会いをし……』とか紹介されたら、それはナンパがきっかけで付き合い始めたって意味らしい。いや、どうでもいいか。そんなことは。
俺たちの場合、フィアが屋根をぶち破るほどの猛烈なアタック(物理)を仕掛けてきたことがきっかけってことになるのかな?
「それじゃ、よろしくな、フィア」
「はいです! レルさん!」
俺の右手をフィアは両手で握った。フィアの手は温かかった。
まるで、普通の人間みたいに。
第一章を読んで頂いてありがとうございます。
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