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【チートスキル】寝室こわれる【もらってみた】


「な、ば、バカ、よせよ!」


 思わず俺はのけぞっていた。

 それでもフィアは平然としている。


「何がですか? 唇を重ねあうのは、天界では普通のことですよ?」

「お、俺たちの間では普通じゃないの! お前みたいな子にそういうことされるの、俺、慣れてないんだからさ!」


 ギルドにいた遊び人なんかにとっちゃ日常茶飯事なんだろうけど。


「そうなんですか? それは失礼しましたです……」


 しゅんとしてうつむくフィア。ちょっと強く言い過ぎたかもしれない。


「いや、べ、別にいいけどよ。これでスキルとやらは俺の身についたのか?」

「はい。完璧です。見ますか?」

「見る? どうやって」

「ステータスですよ、ほら」


 フィアがあの四角い窓のようなものを俺の方へ向ける。

 しかし、数字が並んでいるばかりでどう読めばいいのか分からない。


「どこを見りゃいいんだ?」

「ほら、ここです」


 フィアの指さしたところを見ると、確かにそこには俺の知っている文字でこう書かれていた。


 【桁を操るスキル(インフレーター)】と。


「へー、強そう(小並感)」

「見てくださいです、SSS級のスキルですよ。こんなの本来は神様レベルじゃなきゃ手に入らないスキルなんです」

「そいつはすげーや。で、どうやって使うんだ?」

「簡単です。例えばこのベッドに手を向けてくださいです」

「ん、こうか?」


 俺はフィアに言われるがまま、ベッドへ手を向けた。

 すると、目の前に『1』という数字が現れた。


「それでです、この数字の隣を触るんです」

「ほうほう」


 『1』の隣に人差し指で軽く触れてみると、そこへ『0』が現れ、『10』になった。


「それでは、手を放してくださいです」

「よし」


 そして俺がベッドへ向けていた右手を下ろした瞬間、俺の部屋はベッドで埋め尽くされてしまった。


「……………」

「……………」


 寝室中に散らばったベッドは、数えてみればちょうど十個あった。

 危うくベッドで窒息死するところだった。寝室を広めに作ってもらってよかった。


「ほらね、すごいですよ?」


 俺の方を見上げるフィア。しかしその目は泳いでいた。


「いや、すごいけど。お前の力を疑った俺も悪かったけど。ベッド十個も、要らなくない?」


 これどうしよう? 薪にしてしまうのも手間がかかるしなあ……。

 その時、ふいにフィアが息をのんだ。


「あっ!」

「な、なんだ、どうした?」

「レルさん、鏡、鏡ですよ!」

「鏡?」

「いいから早く見てくださいです!」


 フィアにせかされ、俺はベッドの山をかき分けながら寝室の鏡を覗き込んだ。

 そして、叫んだ。


「もしかして、若返ってるーっ!?」


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