【一区切り】後日談【つけてみた】
※※※
俺は畑を耕していた。
家の裏の、土地だけ買って手を付けずにいた場所だ。
今から苗を植えて、季節が変われば収穫できる予定。
「……ふぅ」
俺が地面に鍬を置いて一息ついたとき、
「レルさん、朝ご飯の支度が出来ましたですよ!」
家の方からフィアの声がした。
「ああ、すぐに行く!」
※※※
食卓に並んでいたのは、パンとスープ、そしてベーコンと卵を焼いたものだった。
どれもおいしそうに湯気を上げている。
「おお、うまそうだ」
「レルさん、ちゃんと手を洗ってからじゃないとダメですよ!」
「分かってるよ」
俺はフィアに笑って答える。
そして、台所の方で手を洗い、テーブルについた。
フィアが俺の向かい側に座る。
「エニルちゃんがいないと、少し寂しいですね。今頃何をしてるんでしょう?」
「さあな。あの市長と一緒に、朝飯でも食べてるんじゃないか?」
ミアのいなくなったあの後、スニード市長は市長の座に復帰した。
今後は、貧民を救うべく市長としての活動をやっていくらしい。
それに伴って、エニルも市長のもとに戻っていった。
ま、あのガキがいなくなってせいせいしたぜ。
フィアの言う通り、ちょっと寂しいけど。
たまには遊びに来てもいいんだぜ、エニル。
「畑の具合はどうですか、レルさん?」
「もうすぐ耕し終わる。昼は街に苗を買いに行こう」
「本当ですか! レルさんとデートですね!」
フィアの顔が輝く。
「で、でーと……まあ、そうだな」
俺は照れたのをごまかそうと、スープを一口すすった。
「お味はどうですか?」
「うまいよ。さすがフィアだ」
「そうですか? 嬉しいです」
嬉しそうにフィアが笑う。
あのミアとの決戦の後、スニード市長の一派がミアの屋敷を占領する中、俺とフィアはこっそり家に戻って来た。
市長は勲章を贈ると言ってくれたけれど、今更勲章なんか貰っても仕方ない。
だから代わりに、指名手配を取り下げてもらうことと、エニルを大切にすることを約束してもらった。
きっとあの街は良くなっていくだろう。
というか、近隣住民たる俺たちにとっちゃ良くなってもらわなきゃ困る。
ただ、一つ不安なことがある。
それは、ミアの死体が見つからなかったことだ。
市長たちも独自に調べたらしいが、やはり見つからなかったらしい。
もしかすると、まだ生きているのかもしれない。
……まあ、俺には関係のないことだろう。むしろそうであってくれ。
そして。
「なあ、フィア」
「なんですか、レルさん?」
「もうしばらくして、生活もひと段落したら、旅に出ようかと思うんだ」
「旅ですか?」
フィアは不思議そうな顔をする。
「そう。お前を天界に帰す方法を探す旅だ」
「私を天界に……」
「その時は、フィアもついて来てくれるか?」
「もちろんです。でも……」
フィアが俺から視線を外し、俯く。
「どうしたんだ?」
「でも、私、本当はもう天界に帰らなくてもいいって思ってるんです」
「帰らなくてもいい? どうして?」
「だって……」
フィアは再び顔を上げ、俺と目を合わせた。
「だって、レルさんと居られて、私、幸せですから」
読んで頂いてありがとうございます。
これにてこのお話は一度完結です。
またストックができれば続編を投稿します。
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