【1000倍に】歯折れる、血が出る、倒れる【上げてみた】
再び屋根を駆け上がり、拳を振り上げる。
ミアの蹴りを今度は躱し、そしてあのムカつく顔面に右手を叩きこむ。
しかし、俺の攻撃はミアに当たる寸前で受け止められてしまった。
「てめー、どこにそんな力が……!?」
「やはりバカ素直なだけですわね、庶民は」
「なんだと!?」
「ステータスを操ることができるのは、あなただけだと思わない方がいいですわ」
「……まさか!」
俺はミアから飛びのいた。
全身が裂けるように痛い。
というか、既にところどころ裂けている。
このままじゃ、俺が勝手に自滅してしまうだけだ。
「そう。特別に教えてあげますわ。わたくしが悪魔との契約で得た超SSS級スキルの名を」
「スキル……!」
「【絶対に相手を上回るスキル】」
「!」
気づけば、距離を取ったはずのミアが俺の目の前まで近づいて来ていた。
一瞬の内に。
通常の1000倍じゃすまないような速度で。
そして、今まで感じたことのないような、重たい衝撃が俺の顔面に叩き込まれた。
「がっ……!」
俺のステータスは、今1000倍にしてある。
もしミアの言うことが本当なら。
俺は1000倍以上の威力で殴られたことになる。
衝撃で、俺の体は屋根から弾き飛ばされ、そして宙に舞っていた。
歯が何本か折れてる。口の中が大量出血だ。
「口内炎じゃすまねえな、こりゃ……!」
朦朧とする意識の中、俺は遠ざかるミアとの距離を一桁縮め、なんとか屋根の上に戻った。
立ち上がる。
足元がおぼつかない。
「無様ですわね、庶民。どうあがいても私のスキルの前では勝ち目がないというのに」
「勝ち目があろうがなかろうが、お前を倒せさえすればそれでいい」
だめだ、わけのわからんことを言ってる。
頭もうまく働いていない。
節々が痛んできた。
見ると、俺の両手は再び皺だらけになろうとしていた。
老化が進んでいるらしい。能力を使いすぎてる、
これ以上戦いを長引かせれば、俺が不利になっていくだけだ。
「す……【ステータスオープン】」
ミアのステータスは、確かに俺のステータスを上回っていた。
どういう理屈か、俺の能力でもミアのステータスを操作できない。
どう頑張ってもステータスではミアに勝てないようになっているらしい。
「庶民、あなたも神に等しい力を持っているようですわね」
「庶民って呼ぶのやめろ。俺にはレル・アンジェって名前がある」
「知っておりますわ。最初にお名前で呼んで差し上げたはずです」
あれ、そうだっけ。
いいや。忘れた。




