【ステータス】おっさん動揺する【確認してみた】
「えーと、大丈夫か? やっぱり頭を打ったりしたのか?」
そもそも、屋根を突き破っておいて無事なわけもない。というかむしろそうであってくれ。
「怪我は大丈夫です。この程度では、私は傷つきませんです。聖女なので」
えっへん、とフィアは胸を張った。たゆんと揺れるフィアの胸元。
「へ、へえ~。そーなんだあ……」
「あーっ! その目は私の言うことを信じていない目ですねっ! いいです、私が天界からやってきた証拠をみせてあげますですっ!」
怒ったのか、フィアが頬を膨らませ、眉を逆八の字にする。
そんな表情さえも芸術品のようだった。
「じゃあ見せてくれよ、証拠ってやつを」
「いいですよ。【ステータスオープン】、です!」
フィアが空中を指さすと、そこに四角い何かが現れた。その四角い何かには、数字のようなものが並んでいる。
「へー、昔はそれなりに鍛えてたみたいですね。でも、今はだいぶステータスが落ちてるです」
「な、何言ってんだよ。その四角いやつはなんなんだ?」
「これはあなたの能力を数値化したものです。ラルさん、あなた、左手を怪我してませんですか?」
「!」
おっしゃるとおりだ。
まだ言ってないはずなのに。
「状態異常になってます。これはほとんど呪いに近いですね」
「呪いだって?」
「そう。非常に強い呪いです。残念ながら私は解呪の専門ではないので、その左手を治してあげることはできません」
「あ、ああ。いや、別にそんなことは望んじゃいねえけどよ」
もう俺も五十だ。この左手とは一生付き合ってかなきゃならねえって覚悟くらいはしている。
「でも、私はあなたに助けてもらった御恩があります。私が神様であることを証明するのもかねて、あなたの願いをかなえてあげましょう」
この子、正気か?
とはいえ俺の左手のことを見抜かれたのも事実だ。ちょっとだけこの遊びに付き合ってやってもいいだろう。
「それじゃあ、あれだな。この辺境に暮らすようになって一番困るのは、資源だ。街が遠くて買い出しも大変だから、ものを増やせる力なんてのがあれば楽なんだが」
「いいでしょう。この世界にはスキルというものがあるらしいですね。そのスキルという形であなたにお渡ししますですよ」
「本当か?」
「はい、私の方へ顔をお寄せになってくださいです」
「こ、こう?」
俺はフィアの方へ屈み、顔を寄せた。
その瞬間、フィアは背伸びをして俺の方へ顔を近づけてきた。
俺があっけにとられているうちに、俺の唇に何か柔らかいものが押し当てられた。
フィアの唇だ。




