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【床で】聖女寝ぼける【眠ってみた】

※※※


 さて、夜もだんだん更けてきて、いよいよ寝ようということになった。

 結局布団は見つからず、あったのは予備に持っていた毛布が一枚。


「仕方ねえから、フィアとエニルは二人でベッドを使ってもらっていいか?」

「レルさんはどうするんです?」

「俺は毛布で寝るよ。まあ、大丈夫だ。フィアのお陰で体も若くなってるしな。余裕で眠れるよ」


 そう、昨日の夜までとは違うのだ。

 っていうか、フィアが降ってきたのが昨日の夜か。

 なんか、とてつもなく長い時間(投稿開始から二十日)が経っているような気がする。

 なぜだろう……。

 まあ、きっとそれだけ濃密な時間が過ぎたっていうことだろう。深く気にするのはやめておこう。


「でも、昨日も私ベッドで寝かせてもらっちゃいましたし、なんだか申し訳ないです……」

「そう気にするなよ。その代わり、エニルの世話は任せたぜ」

「はいです」

「で、そのエニルは?」

「もう疲れたからって、ベッドの中です」

「まったく、気ままなガキだぜ」

「それも子供の特権ですよ、レルさん」

「まあ、な」


 市長の娘から貧民街のひったくり。

 同情するわけじゃねえけど、あいつもなかなか苦労人だよな。

 俺があいつくらいの時は……いや、考えるのはやめとこう。


「じゃあ、寝るか。おやすみフィア」

「はい、おやすみです、レルさん」


 フィアが寝室の方へ姿を消す。

 それを見届け、俺は天井の魔ランタンの灯を消し、椅子の上で毛布にくるまった。

 節々が痛まないことが、こんなに快適なものだったとは。

 もう一回目指せるな、冒険者。

 いやいや、俺はスローライフを送るためにこの地に来たんだ。

 エニルのことがひと段落するまでは、庭いじりでも楽しむさ。


 なんてことを考えていたら、俺は眠りに落ちていたらしい。

 どのくらい寝ていたのだろうか。外は暗い。まだ夜だ。

 そして、台所の方で物音がする。水を汲んでいるらしい。足音から察するに、多分フィアだ。喉が渇いたんだろう。


 俺は寝返りをうって、毛布を被りなおした。

 だけど、妙だ。足音がだんだんこっちへ近づいて来る。

 そして足音は、俺の前で立ち止まった。


「ふにゅ~……」


 抜けたようなフィアの声。

 寝ぼけているらしい。

 俺はフィアを寝室へ戻すために、体を起こそうとした。


 しかし、フィアの方が早かった。


 フィアは無理やり俺の毛布の中に入ってくると、そのまま俺に覆いかぶさるようにして倒れこんできた。


「よ、よせ、フィア!」


 俺の声は、もう眠ってしまったフィアには届かない。

 ……フィアの体、柔らか!




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