【床で】聖女寝ぼける【眠ってみた】
※※※
さて、夜もだんだん更けてきて、いよいよ寝ようということになった。
結局布団は見つからず、あったのは予備に持っていた毛布が一枚。
「仕方ねえから、フィアとエニルは二人でベッドを使ってもらっていいか?」
「レルさんはどうするんです?」
「俺は毛布で寝るよ。まあ、大丈夫だ。フィアのお陰で体も若くなってるしな。余裕で眠れるよ」
そう、昨日の夜までとは違うのだ。
っていうか、フィアが降ってきたのが昨日の夜か。
なんか、とてつもなく長い時間が経っているような気がする。
なぜだろう……。
まあ、きっとそれだけ濃密な時間が過ぎたっていうことだろう。深く気にするのはやめておこう。
「でも、昨日も私ベッドで寝かせてもらっちゃいましたし、なんだか申し訳ないです……」
「そう気にするなよ。その代わり、エニルの世話は任せたぜ」
「はいです」
「で、そのエニルは?」
「もう疲れたからって、ベッドの中です」
「まったく、気ままなガキだぜ」
「それも子供の特権ですよ、レルさん」
「まあ、な」
市長の娘から貧民街のひったくり。
同情するわけじゃねえけど、あいつもなかなか苦労人だよな。
俺があいつくらいの時は……いや、考えるのはやめとこう。
「じゃあ、寝るか。おやすみフィア」
「はい、おやすみです、レルさん」
フィアが寝室の方へ姿を消す。
それを見届け、俺は天井の魔ランタンの灯を消し、椅子の上で毛布にくるまった。
節々が痛まないことが、こんなに快適なものだったとは。
もう一回目指せるな、冒険者。
いやいや、俺はスローライフを送るためにこの地に来たんだ。
エニルのことがひと段落するまでは、庭いじりでも楽しむさ。
なんてことを考えていたら、俺は眠りに落ちていたらしい。
どのくらい寝ていたのだろうか。外は暗い。まだ夜だ。
そして、台所の方で物音がする。水を汲んでいるらしい。足音から察するに、多分フィアだ。喉が渇いたんだろう。
俺は寝返りをうって、毛布を被りなおした。
だけど、妙だ。足音がだんだんこっちへ近づいて来る。
そして足音は、俺の前で立ち止まった。
「ふにゅ~……」
抜けたようなフィアの声。
寝ぼけているらしい。
俺はフィアを寝室へ戻すために、体を起こそうとした。
しかし、フィアの方が早かった。
フィアは無理やり俺の毛布の中に入ってくると、そのまま俺に覆いかぶさるようにして倒れこんできた。
「よ、よせ、フィア!」
俺の声は、もう眠ってしまったフィアには届かない。
……フィアの体、柔らか!




