【再挑戦】風呂は命の洗濯【してみた】
「そうだ、フィア」
「なんです?」
「フィアの魔法でスニード公の病気を治してやることはできないのか?」
「体の病気ならなんとかなるかもしれないですけど、私が思うにあの方は心の病の方が重たいです。私の魔法ではどうにもならないです」
「そうか……」
ならしょうがない、ここは気持ちを切り替えていこう。
つまり、俺が当初予定していた通り、スローライフを送らせてもらう。
多少人数は増えたけど、多少のイレギュラーもスローライフの内だ。予想外を楽しむ心の広さを云々。
「ごちそうさま。フィアお姉さん、すっごくおいしかったよ!」
本当に、心の底からの笑顔でエニルが言う。
フィアはそんなエニルに微笑み返し、
「それはなによりです! お野菜はどうでしたです?」
「ドレッシングがおいしかったし、野菜の茹で加減もちょうどよかったよ!」
ほう。
そうか。
ちょうどよかったか。
フィアが答える。
「エニルちゃん、実は今日の野菜を料理したのはレルさんなんですよ!」
エニルはびっくりしたように、
「ええー!? レルが!? 料理できないんじゃなかったの!?」
「バカヤロー、てめー、俺だって野菜を茹でるくらいできるっつーの」
本当はフィアに教えてもらいながら調理したのだ。
これで俺も茹で野菜を作ることができるようになった。
いわば、【レルはスキル『野菜を茹でる』を覚えた!】といったところだろうか。
ふふふ、この年にして進化が止まらん。
今の私は阿修羅すら凌駕する存在だ!
阿修羅が料理をするのかは知ったこっちゃないが。
ちなみに阿修羅というのは東側の国の神様で(以下略)。
俺は食事を終えて、椅子から立ち上がった。
「旨かったぜ、フィア。後片付けも頼めるか?」
「モチのロンです! あれ、レルさんどこへ行かれるんですか?」
「ちょっと風呂の用意をな」
「お風呂ですか! 私お風呂大好きです!」
ぱっとフィアが顔を輝かせる。
直視できないくらい可愛い。
「そ、そうか。期待に添えるかは分からんが、まあ、待っててくれ」
「はい、待ちますです!」
えーと、風呂を沸かすには薪と、あと水がいるな。
この辺は生活インフラがかなり整っていて、なんと水道まで通っている。きれいな川も近くにあるから、水にはまず困らない。
これも俺がこの地に移って来た理由の一つでもある。
「さて、それではお片付けです」
フィアが席を立つと、
「お姉さん、あたしも手伝う!」
と、エニルも席を立つ。
……そうだ、寝る場所もどうにか用意してやらなきゃ。布団の数が足りるだろうか。




