【指名手配】さすが聖女様【されてみた】
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屋根も直ったところで、俺たちはとりあえずエニルを街へ送ることにした。
当然エニルは嫌がったけど、こいつにも親がいるだろうし、勝手に預かるわけにもいかない。
それに、俺の予想が正しければ……いや、今は考えないでおこう。
「あたしさー、お姉さんと一緒ならいい子にできると思うんだよね」
街の表通りを歩きながら、エニルが俺を見上げる。
「なんでそれを俺に言うんだ?」
「レルがあたしを無理やり街に戻そうとするから」
「仕方ねえだろ。俺は人さらいじゃないんだ」
「あたし、レルたちにならさらわれてもいいよ」
「お前が許しても世間様の目は許してくれねえの。な、フィア」
俺はフィアの方を向いた。
フィアは午前中に買ったワンピースを着ていて、これがもう途轍もなく似合っていた。
さすが聖女様!
そんなフィアが答える。
「え? 私は構いませんですよ。エニルちゃんがいたほうが賑やかかもしれませんですし。楽しいのが一番です!」
まともなのは僕だけか!
しかし実際のところ、エニルを裏町に帰すよりは、このまま俺たちが預かっていた方がいいのかもしれない。教育上。
とか考えて、俺は笑ってしまった。
俺みたいな人間が教育なんて言葉を口にするのは、ちょっと変だ。
人生からドロップアウトし続けた俺みたいな人間が。
「レルさん、何かおもしろいことあったです?」
「いや、なんでもないぜ」
と、そのとき、エニルが不意に立ち止まった。
「おいクソガキ、置いていくぞ」
「ちょっと待ってよ。ねえ、レルって有名人だったんだねえ。こんなところに写真が貼ってあるよ」
「写真?」
写真というのは、西側の異国から最近伝わってきた技術だ。
風景をありのままに映し出し、それを特殊な紙に書きだすことのできる機械を言う。
そんな便利な機械だから、伝わってきて以来爆発的に広まった。
俺も老後の趣味に使おうかと思っていたが、けっこう金がかかるらしく、やめた。
……あ、でも今なら買えるかもしれない。要検討だな。
まあ、それはそれとして、俺はエニルの見ていた写真を覗き込んだ。
うん、確かにこれは俺の顔だ。ちょうど路地裏であの女に捕まってた時の。
で、なんでこんな写真が貼ってあるんだ?
顔を上げる。
俺の写真が貼ってある掲示板には、【犯罪者一覧】と書かれていた。
なんてこった。
俺も犯罪者の仲間入りだ。
ええい、あのミなんとか・ザなんとか・ハルなんとかって女め、絶対許さん。
あ、でも普通に考えて、いきなり人に殴り掛かるのは犯罪だ。
今後は気を付けよう。心に余裕があれば。




