【ちょっと】大人げないのも構わない【落ち込んでみた】
うう、傷心だ。自信満々で任せろとか言っちゃったせいで余計に恥ずかしい。
「まあまあ、レルにもいいところあるから大丈夫だよ」
ぽんぽんと慰めるように俺の肩を叩くエニル。サンドイッチのソースでべたべたになった手で……。
「俺のいいところ? 例えば?」
「え? 老けたり若返ったりして面白いところ?」
……こいつ、俺のことを大道芸人か何かだと思ってるんじゃないか?
「レルさん、とりあえず召し上がってくださいです。お腹が空いてちゃ元気出ませんですよ!」
「ああ、ありがとう」
俺はテーブルに突っ伏したまま手を伸ばし、きれいに盛り付けられたサンドイッチをひとつ手に取った。
「レル、行儀悪い」
「うるせえガキ。放り出すぞ」
「むっ。そういうの、八つ当たりっていうんだよ、八つ当たり!」
抗議のつもりなのか、エニルが右手のサンドイッチを振り回す。
「行儀悪いぞ、エニル。人のこと言えるのか?」
「せ、せきにんてんかだ!」
「ふん、悔しかったら行儀よく食べてみろよ! どうせてめーには出来ねえだろうけどな!」
「バカにしてーっ! あたしだって上手に食べれるよっ!」
エニルは急に背筋を伸ばして、目の前に置いてあった布巾を首周りにかけた。
そして手を叩いて、
「この料理を作った者をここにお呼びなさい」
フィアは笑いながらエニルの横に立つ。
「わたしですっ! お口に合いましたですか?」
「非常に美味でした。夕食も楽しみです」
澄ましたように言うエニル。
「はい、頑張って作りますです!」
フィアもいい笑顔で答える。
くっそー、なんか楽しそうじゃないか。
俺もあの中に混ざりてえ!
とりあえず俺はサンドイッチを一口かじってみた。
塩漬けにした豚肉を薄く切って炙り、それを新鮮なタツの葉と一緒にパンで挟んである。
触感もいいし、何より香辛料を使ったソースがよく合っていてめちゃくちゃうまい。
「……フィアは料理もできてすごいな。俺にはとても真似できそうにない」
「そんなことないです、レルさんにもできますですよ! 私が教えてあげますです!」
「本当に、俺にできるようになるか?」
「お任せくださいです! つきっきりで教えてあげるですよ!」
フィアがつきっきりで?
ほう。
そそられるな。
「えーっ!? レルばっかりずるい! あたしにも教えてよ!」
エニルが口を挟んでくる。
「てめーは駄目だクソガキ!」
「なんでさ!」
「なんででもだ!」
俺たちが言い合っているのを、フィアは困ったように笑いながら見ていた。




