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「あー・・・落ち着かない」
「ご主人様、これ何?」
見てみるとレバーみたいな物があった
これはこのダンジョンの罠だ
・・・まずい
「そ、それはね・・・
あれ!えっと、そう!昔使われてたやつ!」
「ふーん?」
言いながらプレセアがニヤリと笑った
ガコンッ
え!?!?
「何も起きないなら大丈夫だよね?
なんでそんな顔してるの?」
絶対わざとだー!!
確かこの罠は・・・
ドン!
上から洞窟を埋めらんばかりの大きな丸い岩が落ちてきた
私たちがいるところは坂道
つまり・・・
「いやーーー!!」
岩がこっちに向けて転がってきた
「ほら、頑張らないと踏み潰されるよ?」
「プレセアのせいでしょーがー!!
何もないって言ったのに!」
「ご主人様嘘つくの下手だね?
あんなこと言われたら動かしたくなるでしょ?」
「ならないからあああ!!
あーもー!!これで前に魔物がいたら挟み撃ちでしょーがー!」
「絶対絶命ってやつだね」
「そんなに冷静に言わないでよ!」
前に曲がり角がみえた
これで岩ともおさらばっ
私は猛ダッシュで曲がった
「はぁ・・・はぁ・・・」
「ご主人様早かったねぇ」
「あたり、まえ・・・」
下を向いて息を整える
「これだけで息切れって貧弱だねご主人様」
「これでも前より体力ついたんだから・・・」
顔を上げた
……………
「なんか、前に大量のスライムが見えるんだけど・・・」
目の錯覚?
「ああ、最初からいたよ?」
早く言って!
スライムはうかがうようにこっちを見ている
「こっちに来ないうちに・・・」
階段はさっき岩が行った方向だ
私が行こうとして振り向いた時だった
ぶにっ
頭に何か乗った
「えっ!?」
「あははは!!」
もう嫌な予感しかしない
両手で頭を触った
グニグニする…
「いやーーー!」
思わず投げる
思った通りスライムだった
「ご主人様スライムに縁があるねえ」
「そんな縁嬉しくない!」
グニグニグニ
後ろから変な音が聞こえた
恐る恐る振り返る
スライムたちが合体している
「何これ!?」
「へぇ、初めてみたな」
私も初めて見るキングスライムになった
「と、とりあえずいこうか」
「倒さないの?」
「倒すのが面倒なの!」
キングスライムはスライムの集合体だ
だから体のあちこちに核があって倒すのは大分手間がかかる
「でもこっち来るけど?」
は!?
見ると飛び跳ねながら向かってきていた
「えええ!?!?」
ジャンプが普通じゃない
なにあの速さ!?
元々距離がそんなになかったせいもあって逃げる間もなかった
潰される!?
詠唱する時間もない
反射的に目を閉じた
ズブズブズブ
息ができない
生暖かい水にいるような・・・
「スライムの中だね〜
ふふっご主人様苦しそうだよ?」
息ができないの!
私は指で魔法陣を書いた
魔力を注ぎ込む
「はぁ!はぁ!」
息ができる
私が書いた魔法陣は体を空気で覆うというものだ
水に入るときに使われるやつだ
「それでご主人様、どーするの?」
「ここから出る!」
周りを見るとスライムはさっきの場所から動いていない
普通に外に出ようとするとスライムの体に押し返される
「普通に出られるかもっていう発想がいかにもご主人様っぽいよね」
それはアホという意味なのか
『大地よ私に呼応し形を作りたまえ』
さっきみたいに棘の形にして突き刺して見る
グサっ
…………何も起きない
スライムのダメージは0だ
ただささっただけだった
「あはははははは!!
ご主人様アホすぎるよ」
「こっここからなんだから!」
ささったんなら元に戻したら穴が空くはず!
『大地よ元の形に戻れ』
しゅうううう…
「嘘でしょ…」
棘は元に戻ったけどスライムも穴を開けた場所が直ぐに元に戻った
「あはははは!!
全然だめじゃんご主人様」
「どうしよう・・・」
一生このままなんて御免だ
「プレセアなんとかできる?」
「僕?さあ、どーだろうね?」
ニヤリと笑ってこっちを見た
絶対なんとかなるやつだ・・・
「プレセア、お願い!
なんとかして!」
「・・・しょーがないなぁ」
『転移』
次の瞬間スライムの外にいた
「え!?」
「急がないとまた取り込まれるよ?」
「それは嫌!」
そのまま走って階段に向かう
「でも転移が使えるなんて・・・
流石って感じね」
転移は上級者魔法だ
普通は魔方陣を使う
「そう?」
「・・・!転移が使えるならそれで体までたどり着けるんじゃないの?」
「それは無理だね」
「無理って何で?」
「行ったことある場所しか使えないから
それに、転移で行けたとしてもつまらないでしょ?」
なんだそれは・・・
怪訝な顔でプレセアを見た
「困るのを見るのが楽しいでしょ?」
まぁ、なんとなくそう言う予想はついてたよ
階段に着いた
「やっと4階・・・」
ここまでが長く感じた
「後少しだねえ〜」
階段を降りていった