私の国
掲載日:2017/10/20
『私の国』
工場裏の空き地
細いアカシアの木が一本
曲がった幹の下
まばらな葉陰に
水たまり
かすかに
風が吹いていた
灰色の空に
鳥が舞っていた
誰もいない
そこが私の国
いつでも探している
いまでも探している
雨上がりの
風が吹いていた
水たまりに
さざ波が立ち
星のようにきらめいた
誰も知らない
私の国
大人になっても想う
もうどこにもないと
知っていて想う
先の見えない砂漠の旅に
ひととき
足を伸ばし
荷を下ろし
眠るために
還っていく
そこは
小さな私の国




