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プロローグ《プロロロロロロロローーーーーグ!!》

新連載してみました、読んでください。




とある日の放課後。



成瀬堅太郎は本を読みながら小さなあくびをした。



そのあくびを目撃したガスマスクの少女はなにか面白いことを

思いついたように、成瀬との距離を詰めてくる。



そして予期せぬ発言が成瀬に降り注ぐ形となった。

 

「……前々から気になってたんすけどぉ………成瀬クンって、なんでそんなに臆病なんスカ?」

「え?」



沈黙を被りながら本を読んでいた成瀬に突然突拍子のない言葉を

投げ掛けてきたのは、奇妙なクマの被り物を顔に装着している不気味な印象の少女(?)だった。




彼女はブカブカのジャージを着ており、だらだらと揺れまくる袖が、先程から成瀬の顔にバシバシと当たっていたが注意する勇気もないので、スルーしていた。


「……………あ……」


成瀬は若干口ごもり、困ったような表情で周囲を見渡す。


「………………」


教室の隅に置かれている丸いテーブル。

そのテーブルに添えられるように設置されている椅子に

すっぽりと収まる小柄だが豊満な胸を持つ少女。



成瀬はこの空間内で最も位の高い存在である彼女に助けを

訴えかける視線を健気に送り続けるが、彼女は面白がっているのかにまにまと不審な笑みを浮かべながらこちらを眺めている。



仕方なく質問に答えることにした。 



「えっと………僕ってそんなに臆病ですかね?」

「うーん……ちょっとね」



綺麗な模様が刻まれたティーカップがテーブルの上に置かれる。

紅茶だろうか。ティーカップの容器は満杯に満たされており

上品な薫りが鼻の奥を甘くする。



淹れてくれたのは長身の女性。

白く色素の抜けたような綺麗な髪に、黄金色の瞳。


見惚れてしまいそうなしたたかな容姿に、この空間内で最も豊かな胸を持つ女性だ。彼女は話に加わってきた。



「んー、こいつのはもはや病気だな!」

 

ひどい云われようだな。

椅子に座る赤い髪の少女はケラケラと笑っている。


「だったらもう少し偉そうなガンジにしたらドですか?」 


ソファに座っていた異国の少女が興味津々に身を乗り出す。



「おー!それはいい!よし、お前ちょっとそこに立て!」

 


言われるがままに立たされ、やったことのない、そしてやりたくもない仁王立ちを強いられ、成瀬はちょっぴり涙目になる。

 

「その猫背をナオシシテ、背筋ピーンダよ」

「そうっすよ、あとは眉間に力込めるっすよ!」

 

無茶言うな、そう言いたいが、言う勇気がない。

 

「うーん、あと何か足りないよねぇ……」

 

「よし、なんかお前が腹立つこと思い浮かべろ!

憤怒の力を借りて超迫力を身につけるんだ!」


「いや……腹立つことと言われましても…………」


成瀬堅太郎のいままで歩んできた生涯では、正直云うと腹に立つことはあまりない。大体は落ち込んでしまうので、気持ちが怒る方向にベクトルが向かない。

 

「彼の場合……姿勢からではなく、もっと根本的なものじゃないか?」


難しそうな分厚い本を一旦閉じ、成瀬達の方に視線を寄せる女性。彼女は清楚な印象だが、綺麗な黒髪と、黒いストッキングが妙に色っぽい。彼女は髪をかきあげながら、知的な喋り方で成瀬達の議論に意見を挟む。


「成瀬クンはなにがそんな恐いンスカ?女子が恐いンスカ?」



そうですよ、女子達は怖いですし、あなた達も凄く怖いですよ。

 

「成瀬!!」

 

ああもう……今度はなんですか。

 





「私とバグをしよーぜ!」

 

赤髪の少女は大きな声を放った。

そのあまりの音量に部室に居る全員が両手を両耳に当てる形となった。



周りの思考ペースなど気にもせず、少女は勝ち誇った顔で

こちらを見ながら、次の爆弾を投下してくる。 



「最終目標は部員全員とバグな」



彼女は今何を言ったのだろうか?

思考が絡まり、10秒ほど沈黙が続く。

そして次第に彼女の言葉を理解していく……。



「ーーーーーーーちょっ、ちょっと待ってください!」



顔が真っ赤に変わり、もの凄く慌てふためく。


「無理です!バグなんてしたら恥ずかしすぎます‼

というかなんでハグするんですか!意味わかんないですよ!!」

「いや、お前の性根を叩き直すにはこれくらい衝撃があったほうが効果的だろ。」


 

「無理ですって!僕の心臓止まっちゃいますよ!ハードルが高すぎます!!」


成瀬は必死に拒否する。

彼にとって会話するだけでも苦難なのに、ハグなどした日には

本当に命に関わってしまう。


成瀬の赤面は止まることを知らず、血液が今にも噴き出しそうだ。



「う~ん……」


そこまで否定されると逆にムカつくな、そんなことを

考えながら赤髪の少女は成瀬の周りをくるくる回っている。



「じゃあ耳掻き」

「ムリ!」

「膝枕」

「ダメ!」

「混浴」

「アウト!」

「キス」

「論外!」

「握手」

「ノー!」

「いや握手は大丈夫デショ」


金髪少女の的確なツッコミに成瀬以外の全員が頷く。



「ま、今言ったやつは全部私達が卒業するまえに達成してもうぞ」

「まーた、紅葉はムチャなコト言うヨネ~」

「そこも部長の面白いところっすよ!」

「……うん、それは認めるが……ちょ…ちょっと過激すぎないか?」


ーーーーーーー『部長』。

そう呼ばれた少女は秋に舞う紅葉のような真っ赤な髪を

勢い良くかきあげ、またも勝ち誇った顔で仁王立ちをする。

彼女のトレードマークである赤いマフラーは今日も風に揺れる。




『帝王学部』《 部長 弱肉強食の王 》紅葉茜。


「す……少し考え直さないか?あ、いや…別に彼とするのが嫌と

いうわけではないんだ。物事には順序というものがだね……」


《 副部長 漆黒の大賢者》雨宮黒薙。


「あらあらあらあら……困っちゃったわねぇ」


《顧問 純白の死神》白鳥深雪。


「センパイ照れすぎっすよ!いまどきの女子高生ならフツーっすよ」


《 超攻撃型部員 不審なる影 》ムーコ


「zzz……」


《お眠り部員 眠れる森の姫君》園原アリス


「最近のニッポンすごいネー!ボクの国では頬っぺにチューまでだよ!」


《異国部員 完璧超人》ウェネリア・バレンタイン。




「我らの部活動は主に厚生!!」

「高所恐怖症の人間をは高い所大丈夫にしたり!縄跳びできないやつを跳べるようにしたり!パクチー食べれないやつを食べれるようにする……それが我々の行う『厚生』だ!!」


いわゆる克服だ。

人間、苦手なものの1つや2つは持っているだろう。

だがこの部はそういったどうでもいい欠点を直すのが主に部活動だ。

無茶苦茶な理屈に、ヘンテコな部活動………………これが僕らの

学園部活厚生プロジェクト部



通称『帝王学部』だ。




 


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