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俺は今日からトランクスをはこうと思う  作者: 加賀百万
出逢い
4/12

お月見ココア

章を作った方がいいとおもったので、章のまとめ的な感じにしてみました。

「ふぅーふぅー」

今、俺の隣では、ついさっき知り合った少女。白山湖白がココアを熱心に冷ましている。体育座りをしていて両手で俺の家のカップを持っている。猫舌

なのだろう。ふぅーふぅーが異常に長く、多い。というか、1つ1つの仕草が天然というか、幼いというか。守ってあげたくなる。

「美味しい?ココア」

きいてみた。

「見れば分かるでしょ?まだのんでないから」

熱くて飲めていないとは言わないのか。負けず嫌いなのかな?

「早く飲まないと冷めちゃうよ?」

と俺はいいながら保温水筒からそそいですぐのココアを飲んだ。

羨望の眼差しを向けられている。

おいおい、湖白はまるで小学校低学年みたいだぞ。どうやったらこんな育ち方をするのか。親の顔が見てみたい。親といえば、こんな所に居ていいのだろうか?

「そういえば。湖白の親はここにいる事をしってるのか?」

湖白は首を横に振る。

「一応言ったほうがいいんじゃないの?」

抜け出して来ている者の言えたことではない。

「お父さんもお母さんも、1ヶ月くらい前からいなくなっちゃったから」

「何だそれ。なんでそうなったの?」

親としておかしいだろ。

「それがね。うまく思い出せないの」

「そっか」

よその家の事情に首を突っ込むのはよくないから、深くきかないようにした。経験上、ろくな事にならない。赤の他人が関わっても何も出来ないのだから。

「んーーーーっわ!」

かわいい伸びだな。

「じゃあ眠いから帰るね」

と言って冷えたココアを飲み干した。

「ごちそうさま。今日はありがとう」

「うん、おやすみ」

湖白は眠くてふらふらしていたが、なんとか屋上から降りていった。

「あ。家がどこか聞き忘れた」

まあ、またあったらでいいか。


しばらく月を眺めながら考え事をしていた。

さっき、家族関係の事で思い出した。

忘れたい。消し去りたい。最悪の思い出。

おととしの冬だ。俺の友達と思っている存在の1人が、不登校になり、何も言わずに転校した。

不登校の原因は親の離婚。学校を休まされて、離婚裁判へ連れていかれたりしていた。段々と心が病んでいき、学校に来れなくなるほどにまで病んでしまった訳だ。

俺は毎日、学校帰りに家まで行って手紙を届けたり、インターホンを鳴らしたりしていた。電話も何度もかけた。外にだしたかった訳ではなく、会いたいという思いだけだった。仲の良かった俺は特別に転校する事を聞かされていたため、日に日に焦っていった。インターホンを何度も鳴らしたり、相手の親に合わせて下さいと頼んだりもした。

結局会うことも無く、転校してしまった。今は青森県の中学に通っているそうだ。

ここは神奈川県だ。会いに行くのはなかなか難しい。そもそも、会ってくれる保証もない。

そして会える会えないという事よりも、忘れようとしている自分が嫌だ。忘れた方が楽になる。だから、違うことを考えて思い出さないようにしている。

人間の脳は便利だ。

嫌な事はすぐに記憶に変えて、奥底にしまえる。

俺は俺が1番嫌いなのかもしれない。

すぐに嫌な事から逃げる所が大ッ嫌いだ。

「はぁー」

ため息をついた。

ピンロンっ!

うげっ!?七尾さんだ。なんでこんな時間に。

さっきまでの1人反省ムードが台無しだ。

「はるとくん」

「1回でいいから返信ちょうだい」

「はるとくん。知らないと思うけど、モテモテなんだよ?」

「ほかの人にとられたくないから!」

「あたし頑張るよ!」

モテモテだと?ほとんど人とは話さない俺がモテるわけがない。

考えを整理するために家に帰ることにした。



今俺はベッドのうえで1人困り果てている。

本当にモテていたら面倒くさいな。

モテたいなんて思ったこともないし、七尾さんのように告られても面倒だ。


俺は1つのジンクスを思い出した。


いとこの兄ちゃんが言っていた。


トランクスはいてる男はモテない。


迷信だろうけど、やれることはやろう。


俺は今日からトランクスをはこうと思う


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