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俺は今日からトランクスをはこうと思う  作者: 加賀百万
出逢い
2/12

かわいい妹がいるから毎日骨太元気君でいられる

作者にリアルには妹はいません。すべて妄想の妹です。ニーソはいた妹に踏まれたい。

翌日の朝。俺は激しい痛みに襲われた。目を開けてすぐのため、「原因」がぼやけて映る。細いながらも柔らかい太もも、そして手に伝わる2つの柔らかい感触。これは間違いなく妹だ。この世で1番かわいい女の子。今日もミディアムの髪型、最高に似合っている。かわいい。ぐへへぇー。いつか結婚してやる。さて、呑気な事を言うのはここまで。かわいい妹からくり出されている腕十字固めを何とかしないと。

「おはよう!お兄ちゃん!今日も最高の1日の始まり方だね!」

なんて屈託の無い笑顔。

「お、おはよう()(づき)⋯そうだね。最高の朝だ。かわいい妹に起こされている俺は幸せ者だよ」

「やだもう!お兄ちゃんったら。正直者めー」

ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ

「痛ってぇ!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!やめてもう無理無理無理無理!肘が逆だ!俺の肘が曲がるのはこっち側じゃない!あ゛あ゛ぁ゛〜!!」

完全に操縦をミスった。なにがやだもう!だよ。近所のばb⋯お姉さんか!

「お兄ちゃん頑張って!人間の限界はこんなもんじゃない。ってお兄ちゃんの部活の顧問が言ってたでしょう?」

確かに言ってたけども。バスケの試合で言われたな!俺が試合で怪我したときだ!その後病院に行ったら骨折してたし!

でも痛みよりもさっきから目の前に絶対領域なる物を間近で魅せられている俺はこの神聖な領域をぺろぺろしてやりたい気持ちでいっぱいなんだが。というか。した。

「ギィーャ゛ー!!!」

妹は一瞬で離れて太ももをアルコール除菌した。

なんて声をあげるんだ。映画のエイリアンとしか思えなかったぞ。とりあえずこれで剥がすことに成功した訳だ。賞賛の言葉を自分に贈りたい。

「お兄ちゃん最低!そん、そんな、い、妹の太ももは美味しいの!?」

「?ごちそうさまでした」

妹は顔を真っ赤にして涙目になった。

「ーーー大ッ嫌い。〇ね」

「おいおい、死〇はないだろ。代わりに踏んでください」

「うっうるさいっ!」

妹はフーッフーッと息を荒くして部屋を出ていった。しばらくすると下から行ってきまーす!と明るい声が聞こえてきた。

「やれやれ」

置き型のデジタル時計を見ると7時45分。月曜日。と表示されていた。

「あー急がなきゃ」

息付く間もなく、準備を済ませ家を出た。親は仕事に出ていたのでしっかりと鍵も閉めた。


学校に着くまでに俺の家族関係について少し話そう。俺の家は4人家族で両親、俺、妹だ。親は共働きでいつも帰りは11時過ぎだ。親は俺のしたいことに協力的だし、いい関係が築けている。そして妹の卯月。歳は1つしか離れていない。中学2年生。身長は150センチ代前半。胸は控えめ。明るい茶色の髪で髪型はミディアム。部活は家庭科部だが妹は1年の夏休み前から幽霊部員だ。部員がつまらないから行かないらしい。妹とはいつも一緒にいる。親の帰りが遅いから、ご飯は当番で作っている。仲は良い方。だと思う。たまに怒らせてしまうくらいだ。これが俺の家族関係だ。


学校には8時20分に着いた。ちゃんと予鈴5分前に来た。学級委員故に模範的な生活態度だ。窓際の自分の席に座る。つまらない時間が始まる。何故つまらない時間が始まるのかというと、俺が心から友達だと思えるのは2人だけで、1人は去年、1人はおととし、違う学校に転校してしまったからだ。2人がいなくなってから学校はつまらない。2人とはお互いに思っていることを正直に話せる関係だった。普通はこれを親友と呼ぶのかもしれないが、俺はこういった関係を友達と呼んでいる。そしてクラスメイトやたまに話すくらいの関係を上辺の友達と呼んでいる。後者の方には俺はいつも気を使って、怒らせないように、傷つけないように接している。愛想笑いはプロレベル。今、学校には上辺の友達しかいない。退屈だ。

予鈴が鳴り、先生が紙に遅刻した生徒を記入していく。今日の遅刻は6人。大体いつものメンバーだ。学年でもイケイケなグループ。パーリーピーポー。男女でいつも固まっている奴らだ。特にリーダーは彼女を持ちながら、別の女子に抱きついたり、胸を揉んだりする。イケメンはなんでも許されるのだ。なおかつ、高校はスポーツの特待生。何とも羨ましい、充実した人生。そういう奴らは皆、将来の事や、人間関係で悩んだりなんかしない。例を挙げると、キリがないのでこの辺りで皮肉は終ろう。

担任が号令をかける

「はいじゃあ、きり〜〜〜〜〜〜っつうー」

約半分の生徒しか立たない。いつもの事だ。担任の起立の掛け声が長いのもだ。

「全員立つまで挨拶できませーん」

別にいいだろ、遅れてきて言う事聞かない奴らなんてクラスのメンバーじゃないだろ。早く号令を掛けてくれ。

「うるせえな!ぶち殺すぞハゲ!」

パリピリーダーが叫んだ。怖っ!お前の方がうるさいだろ。というか周りもこの特大ブーメランに同調するなよ。

「ふぅー」

長い起立が終わり、俺は風呂に入るかのように座った。前で担任がどうでもいい話をしている。俺はいつもこの時間は外の木にとまっている鳥を眺めているが、今日はぼーっと前を見ていた。昨日の出来事について考えていた。

屋上にいた少女。

彼女は空を見上げていた。

なにがしたかったのだろう。

考えている内に俺は眠っていた。


「おーい。起きろー。4時間目終わったよー」

んー?4時間目だと?

「はっ!寝ちゃった!ありがとう。起してくれて」

視線を上に向けると声の主はパリピ女の1人だった。

名前は七尾愛ななお あいだったかな。

「やーはるとー。朝学活から、ずーっと寝てたね。全部自習で良かったね!」

パリピなだけあって、かわいい顔をしている。髪は意外や意外、黒だ。周りのパリピは茶色に染めていると言うのに。身長は160以上あるな。

「良くはないよ。明日はテストだし、勉強したかったな」

無難な返しだ。それと起きていてもぼーっとしているだけだっただろう。

「もーマジ最悪!テスト〇ね!」

テストは死なないだろ。すぐ死〇って言うのやめようよ。テストを殺したければ、とりあえず文科省の大臣になる為にいっぱいテスト受けてくればいいさ。

「まあ、成績付けるためだからしょうがないよ」

「でもやりたくないのー。スタボ行きたーい。ねぇ。はると今度おごってよ!」

「いやーお金無いから無理だよ」

お金はある。お小遣いを毎月1万も親はくれる。1000円じゃ少ないけど5000円でもたりないだろうから1枚で済むし。とのこと。でも友達は転校したから、外に遊びに行くことも無いため、貯まっていく一方だ。あと、俺がパリピなんかと2人っきりで遊びに行きたがるわけない。顔さえ良ければいいわけじゃないぞ。

「はるとのけちー」

ほっぺたふくらませるな!やっていいのは妹だけだ!

「おーい。あいちゃーん」

リーダーに呼ばれ七尾はじゃあねといって立ち去った。呼び方きっも。リーダーはなんて名前だっけ。確か、()(まつ)(ゆう)()って名前だっけな。

「疲れた」

独り言を俺は呟いた。

弁当を食べている間も昨日の事を考えていた。今日も夜中に行ってみるつもりだ。親が寝ないと行けないから1時くらいになるだろう。そう決めた後は、割と頭がスッキリした。教室の喧騒に耳を傾ける。

「おっぱい触らせろー」

おい。小松。

「キャーやめて!!」

パリピが叫んだ。

「っつー」

あまりの金切り声に耳が痛くなった。最悪だ。ここは動物園なのか?理性も糞もない。でももっと嫌なのは3年生のこの時期に入ると、あまり目立たない男子も女子も新しい環境になる前に付き合いたいという衝動に駆られて、やたらとボディタッチが増える。パリピは美男美女だからまだ許せる。が、これは耐え難い。醜い。騒ぐのはお前らの役目じゃないはずだ。恋愛は自由だけど、見せないでくれ。汚い。

嫌な光景を前に今度は自分から眠りにつくことを選んだ。

隣の席の大人しい()()さんに6時間目が終わったら起こしてと頼んでから寝た。


目が覚めた。

教室にはだれもいない?

能登さんは大人しいから声をかけられなかったのか。

人選ミス。

それにしても。

このクラスは寝ている人を起こさないのか。

終わってる。

「ふぁ〜〜」

大あくびをした。4時を過ぎている。吹奏楽部の練習の音が聴こえる。3年はどの部活も引退しているから、今ここにいるのは俺だけか。

「かーえろっ!」

1人だとテンションあがるよね。かわいい妹のために夕食を作らねば!妹が待っている!

「待って」

声がした。

「えっ?」

最悪だ。

パリピ女だ。

「なに?七尾さん」

「あ、あのね。はるとくん」

「うん」

「あたし、はるとくんのことが好きなの」

「はい?」

何を言っているんだ。接点なんてほとんど無いだろ。唐突すぎる。寝起きドッキリか何かか?

「だから、あたしと付き合ってください!」

「うっ⋯」

生まれて初めての告白をされた。しかもパリピ女に。しかもびっくりするくらい普通。テンプレの告白。しかもテスト前日。パリピの思考回路ほんとにどうなってんだ。その日暮らし過ぎる。明日の事なんて、誰と遊ぶかしか考えていない。

「⋯ごっごめん。しばらく考えさせて。」

家で妹にご意見頂こう。

「あっ⋯⋯分かった。一応これラインのIDね。登録しといてね」

「了解です⋯」

「じゃあ、また明日ね!」

七尾さんは走って教室から出ていった。

「はぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー」

吹奏楽部に負けないくらいのため息をついた。こんなにも驚くことが続くと、だらだら生活が身についている俺には勉強なんてやれないだろう。

俺は好きなバンドの歌の和訳を口ずさむ。

「どうして僕はこんなクソッタレになっちまったんだ」

すっかり癖になったため息を、何度もつきながら家にかえった。







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