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魔王の娘に飼われた俺は  作者: ネギ塩
ウロボロス編
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アウティアの過去

 

 アウティアがもっと幼い時、まだ魔力、力のコントロールが不安定だった。そのため、父である魔王と親子喧嘩をした時などは乱れた感情のがきっかけで、よく力が暴発してものを壊したり、他の魔物を傷つけてしまうことがよくあった。しかし、アウティアが初めて人間に触れたのはそんな時だった。ある日、新しいおもちゃを父にねだったとき、そんなに頻繁には買えないとこっぴどく叱られた。何とか泣くのをこらえて自分の部屋に戻ると、勝手に涙が堪えきれず、あふれてしまった。

 その時だった。目の前の空間に穴が開いたのは。興味本位に中に入ると、そこに広がっていたのは青く、明るく輝いた空、そして、緑豊かな自然が広がっていた。彼女は生まれて初めての景色にしばらく見惚れてしまった。彼女はゲートがしばらく持つことを確認してから、周辺を見て回ることにした。

 大空を飛ぶ鳥、泉の水を飲むキツネやクマ、木にとまる虫、色鮮やかな花、その花に止まっている不思議な模様の羽をもつ蝶。魔王城にある書物で一通り人間界のことは勉強して知っていたが、やはり絵を見るのとはわけが違った。ふと、アウティアは、今まで聞こえていた初めて聞く動物たちの鳴き声の中に、なじみのある鳴き声を聞いた。

 アウティアが見つけたのは、ペストアニマという、魔界ならどこにでもいる理性のない低級魔物である。しかし、繁殖能力が高く、雑食のため、魔界の上級魔物からは嫌われている。食料から魔力結石(長い年月をかけて魔力が凝縮された石、工具から武器、薬にまで幅広く使われる貴重品。)を食い荒らすので、魔界では駆除対象になっている。(ゴキブリを想像していただけたらわかりやすいだろう。)

 彼女は物陰からペストアニマをじっと見ていた。というのも、人間の男女四人組のパーティが、それを狩るために奮闘していたからである。ペストアニマは普通体長一メートルほどだが、彼らの目の前にいるものは、二メートルを超えていた。大物である。手助けしようかと思ったが、四人で一致団結して戦う人間の姿を見ていると、妙に安心した。彼らは戦いながら、励まし合い、助け合った。そして、自分たちにとっての強敵を倒した後、彼らは互いに褒め合い、喜びを分かち合った。アウティアは、あんな表情を見たことがなかった。彼女は、生まれて初めて嫉妬した。

 ひとしきり見た後、帰ろうと思い、ゲートに行くと、ゲートの魔力に寄って来たペストアニマの群れが、中に入ろうとうろうろしていた。アウティアは自分の部屋にいっぱいのペストアニマがいることを想像して絶句した。先頭の一匹が中に入ろうとしたその時、彼女は絶叫しながら、攻撃を放った。

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