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魔王の娘に飼われた俺は  作者: ネギ塩
ウロボロス編
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メイド人形ロール 2

 ロールを抱えて城の庭まで来たアウティアは、今は主人の命令によって完全に機能停止した人形をまじまじと見つめた。さっきは若干動いていたが、今は力なくぐったりしていて、全く動く気配がない。


 「ちゃんと止まってるよね・・?さっき何で止まらなかったんだろう?今までこんなことなかったのに・・・。今度ドーラーに相談してみようかしら。」


 少し思案してから彼女は様子を見ることにした。(そうよ、ドーラーの奴、いつも何考えてるかわかんないし、嫌みばっかいうし、お父様が命令してやっとロールを作ったんだから・・・絶対あたしなんか相手にしてくれないわ。それにあいつの工房凄く臭いのよねえ。)


 「よし、まあ細かいことはいいや。ロールまだ動くかなあ?」


 彼女は人形をまじまじと見た。


 「ロール、wake up」


 フォン、という音と同時に、人形に魔力が通い始めた。


 「・・・・ん。お嬢様・・・?」

 「あ!よかった。体の方は問題ない?」

 「⁉」


 主に抱きかかえられているという状況を把握したロールはとび上がった。


 「も、申し訳ございません!どうやらわたくしが迷惑をかけたようで・・・。」

彼女は申し訳なさそうに顔を赤らめて言った。

 「いいのよ別に。」

 「本当ですか?」

 「うん、気にしてないわ。」


 ロールはうつむいている。しばらくその状態が続いたが、やがて、


 「・・・・お嬢様。」

 「何?」

 「私は・・・もうお嬢様には必要ないのでしょうか?」


 驚きだった。今までロールと過ごしてきて、こんな弱気な彼女を見るのは初めてだった。同時にアウティアは胸が痛くなった。ロールが自分のことをここまで慕ってくれていることにも驚いたが、自分が彼女においている信頼の大きさにも驚いた。やはり複雑な人間関係を持ち、かなりの地位を持っているアウティアにとって、たとえた召使でも、唯一いつでもそばにいてくれた彼女の存在は大きかった。


 「そんなちょっとのこと気にしなくていいのよ。正直、あなたがいないとだいぶ不憫だし。」

 「そうですか・・・。」


 アウティアは横目でロールを見ながら、これからはロールの動向に気を付けなければと思った。


 ロールは俯いたままだった。

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