メイド人形ロール 1
「・・・まぁ!、お嬢様、ちゃんとお掃除できるじゃありませんか。」
ロールは、驚いて言った。
「はぁ?何を言って・・・何コレ?」
部屋が今朝の足の踏み場もないような状況からは打って変わってきれいさっぱり整理整頓されている。
「?何をって、ここはお嬢様の部屋でしょう?」
「そうだけど・・・」
部屋を見渡す。おもちゃや、ぬいぐるみはきちんと整理され、脱ぎ散らかしていた服は畳まれていた。ほこりもなく、家具は磨き上げられていた。そして部屋の隅には、薄汚れた布をまとったあの人間の雄がいた。「ちょっとあんた!」
「・・・・・・」
「おーい!起きなさいよっ!」
「・・・・・・」
「・・・・チッ」
アウティアは顔を歪めながら右手をゆっくり握りしめた。
「・・・アダダダダッだだだだdい!」
彼は急な激痛に悶えて、床を転がりまわった。
「いてーなあ!いきなりなにすんだよ!」
息切れをして、目も真っ赤に充血している。
「あんたが早く返事しないからでしょ!」
「お嬢様。」
ロールが遮る。
「もしや彼が魔王様がお嬢様のためにと、連れてきたという・・・・?」
ロールはボーっとしている。
「そうよ。」
アウティアはため息をついた。
「まあ、まあ。どのような方かと思っていましたけれど。使えるようで何よりですわ。」
「は、はあ。どうも。」
「でも、お嬢様に変なことをしたら・・・わかっていますよね?」
ロールはにっこり笑った。いや、目が笑っていないし。すると彼女は無言で彼のもとに近づいていき・・・アウティアははっとした。
「ちょっ、止まりなさい!、ロール‼」
ロールの動きが明らかに鈍くなった。が、その人形はまだ関節をギクシャクと動かしながら少しずつ前に進んでいた。
「⁉何で止まらないの?」
彼女は驚きながらもその大きな人形を抱えて彼に振り返って、
「いい?あんたはそこにいなさいよ!」
そう言うと、部屋を出て行った。
「なんなんだ、一体?」
急に部屋に一人残された彼は、呆然としていた。