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魔王の娘に飼われた俺は  作者: ネギ塩
ウロボロス編
2/52

暇なときすることといえば

キャラが分かりやすいようにできないなりに頑張って描きました!

皆さんの理解の助けになれば幸いです。

挿絵(By みてみん)


***


 「とにかく、この部屋から出ちゃだめだからね‼」


 そう言ってアウティアは部屋から出て行った。本当に魔王の娘だとしたらおそらくいろいろ仕事があるのだろう。とにかく、俺はあの少女から奴隷宣告を受けた日から、ずっとこの部屋に閉じ込められている。しかも、ペットだからといって特にイチャイチャするでもなく、ただじっとしているだけだ。そんな俺に彼女は何もいわないし、俺も何も言わない。おそらく彼女も俺を捕まえたはいいが、対応に困っているのだろう。

 (ああ、本当にどうしたものか、このままだと暇すぎて死ぬ。寝ようにも、俺にろくな枕も、布団もないし、全く、アウティアは「ペットはそんなのいらないでしょっ」とかいうし・・・これじゃあペットというより本当に奴隷じゃないか。何か面白そうなものはないかな・・・)

 俺は周りを見渡した。床に散乱した遊び道具、部屋の家具のいたるところにひっかけられている服、隅にたまったほこり、どこからどうみても、この部屋は汚かった。

 (そうか、ならどうせやることもないし、掃除でもするか。後で何か言われたって大丈夫だろう。何せ俺もこの部屋の住人なのだから、掃除する権利ぐらいあるだろ。よし。そうと決まったら、やるか。)

 俺は服の裾をまくり、窓を開け、一度部屋の中の道具やらなんやらをすべて出した。その中から掃除道具を発掘し、家具を動かしながら部屋の隅々までをきれいにした。ついでに、少し洗濯でもしておいた方がいいのではないかと思うようなものは畳んでまとめておいた。この場合の評価基準は服に染み付いた幼女の汗のに・・・・ゲフンゲフン。

 (まあ、掃除も終わったし、なんだか久しぶりに運動したら眠くなってきたな・・・・。うん、寝るか。)

 そう思ったのを最後に、俺は眠りに落ちた。

 

***


 「・・・・つまんない。」


 私、魔王の娘アウティアは、魔王軍傘下のある上流貴族の開くパーティに参加していた。パーティといっても、中身は、私に近づいて自分の地位、影響力を上げようとする者、私を射止めて次期魔王の座を狙う者たちの巣窟である。このようなパーティは多く開かれるようになった。というのも、魔王とその妃の間にできたのが私であり、女性だったからだ。これまでの第五代までの魔王はすべて男性で通っている。そのため現在魔王軍内では私を妃とし、その夫を新たな魔王にしようとする者たちと、初の女性魔王を誕生させようとする者たちがいる。私は今、次期魔王に関する様々な思惑の中心人物として、あちこちでたらいまわしにさせられているというわけだ。


 「どうなされたのですか?浮かない顔をして。」

 「あら、ディークじゃない!ということは、お父様も?」


 ディーク・デーモン、長身で、全身を黒ずくめの服で覆っており、赤い瞳、紫の皮膚、頭の側頭部に立派な角を持った、誇り高き魔物の代表となっているデーモン一族の末裔である。


 「申し訳ございまん。今回わたくしは魔王様の秘書としてここに来た次第であります。」

 「・・・そう。ごくろうさま。」


 うつむく私に彼はしゃがんで、スラム(食用スライムを圧縮し凝固させたもの)を手渡し優しく言った。


 「いいですか、あなたはあの方の娘なのです。それゆえにあなたには私を含め忠実にあなたを慕う者たちがいます。あなたには、彼らを動かす力があるのです。」

 

 「・・・よく・・・わかんない。」

 「・・・・今はそれでよいのです。」

 

彼は微笑んだ。

 

 「しかしいつか、理解できたとき、その時は考えてほしい。この魔王界の行く末を。」


 それでは、と彼は会場を後にした。そう、この時私はもっと彼の言葉について考えるべきだったのだ。彼の背中が物語っていることを、お父様が見ている世界のことを。しかし、このときの私は新しく手に入れたおもちゃのことで頭がいっぱいで、それどころではなかったのだ。

 (だって、あいつったら全然何もしようとしないんだもの。ペットのくせに、私を楽しませること何一つできないんだから。あれ?やっぱりペットにはいろいろしつけとか芸を覚えさせることが必要って本に書いてあったような・・・?まあいいや、帰ったら会えるし。あいつ今何しているのかしら・・・。)


 ***

 

 「だーかーら‼いいっていってるでしょ!」

 「ですが、最後に掃除してからもう半年は経ちますよ!」


 マリオネットのロールは、私がいくら足を速めても悠々とついてくる。長く私の世話係をやっている彼女は作り物の人形のくせに、だいぶ人馴れをしている。ドーラーの奴、作りこみすぎなのよ、まったく。私は部屋のドアに手をかけて


 「わかったわよ、掃除するから。今日はもういいでしょ。」

 「いいえいけません。今日という今日は掃除させてもういます。」

 「あっ、ちょっと・・。」


彼女は強引に私を押しのけ、ドアを開けた。



読んでいただき本当にありがとうございました!。

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