Chocolate magic【200文字小説】
曰く、年に一度、女子が魔術比べをする日があるらしい
料理が魔術に例えられることはままあり
つまりはその日というのが二月十四日、バレンタインだった
この日に向けて行われる魔術は
錬金術などといったものではなく
さしずめ愛を鍛え上げる術
錬愛術といったところだろうか
ただ、この魔術にも指向性、嗜好性があるらしく――
その一つとして、自分に向くものが無かったのは言うまでもない
バレンタインデー
それは即ち、スーパーでチョコが安くなる前の日のことです
それ以上でもそれ以下でもありません
きっとそうに違いない
世の男性陣はそれを待ち望んでいるんだろ?
だから、そんなにそわそわしてるんだろ?
「Win-CLはチョコ何個もらったー?」
「……母親に市販のチョコ渡されただけだわ。二つ」
「え!? 母親二人いんの!?」
「んなわけあるかぁ! 重いわ!」
そんな高校三年間だったWin-CLさんでした
泣けるわ