表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十時十分、十字路で。  作者: 七賀ごふん
罪滅ぼし

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/63

#7



記憶に蓋をした。


自分の中で笑っていた彼は俺が殺したも同然で、こんなことを十年間も隠していた。友人にも家族にも絶対に言えない。言ったら最後、失望され、誰からも忘れられた人になる。


『清心。本当に、もう俺に会いにきてくれないの?』


掠れた声。真っ暗だった視界が純白の光に照らされる。


「え……」


気付けばまた、何もない真っ白な世界にいた。

ここは夢のような楽園でも、鬼が蔓延る地獄でもない。特別な剣が現れることはないし、助けなきゃいけないお姫様もいない。

小さな少年がいるだけだ。

〝ここ〟は白露の、隔絶された世界。

現実を拒絶したのは白露自身。その彼が、今自分の前に立っている。中学時代の制服を着て、あの無邪気な笑顔を浮かべている。

そうだ。彼は俺を憎んでいる。死刑執行は近い。


『俺のことを忘れて、現実で好きな人と幸せになるんだ。いいなぁ……。清心は強いよ。本当に変わらない。昔と一緒』

違う。

『話したいことがあるんだ。また必ず会いに行く……だから待っててくれ!』


声が出ているのかも分からないが、叫んだ。頭の中のみ響いてる自分の声。白露は俯いたまま踵を返した。もう笑ってない。

『来なくていいよ。また俺のことを忘れて、今度こそ幸せになればいい。……ほら、迎えがきてるよ』

迎え……?

意味がわからず、白露を追いかけようとした。だけど後ろから腕を掴まれる。まったく気がつかなかったけど、誰かが後ろに立っていた。

ゆっくりと振り返る。後ろにいた“それ”は……俺と同じ顔をしていた。


「うわああぁぁっ!!」


歪んだ笑み。鏡を見てるようだが、それは間違いなく自分だった。


────闇。


『ねぇねぇ秦城。知ってる?』


“自分”は二人いる。


そっくりさんの話じゃない。現実に生きる自分と、精神世界に生きる自分。確かに独立した自分が存在がする。

何かがきっかけで分裂して、同じ世界に来てしまうことがある。そう□□は言っていた気がする。


じゃあ……俺がこの世界へ来るようになったから、この世界の俺が現実へ迷い込んでしまったんだろうか。

幾つもの馬鹿げた憶測が浮かび上がる。確かな回答になる前に意識が途切れた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ