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十時十分、十字路で。  作者: 七賀ごふん
前後不覚

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11/57

#3



「はー、清心の膝の上って落ち着く……」

「はは、寝るのか?」

「寝ないよ。眠ることはできないからね。ずっとウトウトが続くだけ」

何もせず胡座をかいていると、白露はよく膝枕をねだった。最近知ったが彼はひどく甘えん坊で寂しがり屋だ。甘え上手なのも確かだけど、言葉より目が、声が顕著に温もりを求めてくる。

長い間ここで孤独だった反動かもしれない。たまに心配になるぐらい抱きついて離れないことがあるけど、そのたびに宥めてあやした。


白い世界に溶け込む、肌の白い少年。

触れた瞬間雪のように溶けてしまうんじゃないかと、いつもヒヤヒヤしながら抱き締める。

愛しくて尊くて、宝物のようだった。

友人でもあり、弟のようでもあり────現実にはいない、唯一無二の存在。

“それ以上”の関係を欲したのは罪だろうか。


「ん……っ」


瞼を伏せている白露の唇を奪った。

とても柔らかい。薄桃色の唇……吸い付いたらそのまま啄んでしまいそうで怖かった。

「……これ、何て言うんだっけ」

「キス」

自分は悪い大人だ。この世界では二人きりだから、誰にも咎められない、法にも裁かれないと思ってる。

白露は嫌がる素振りを見せなかった。むしろもっと、もっとと手を伸ばす。その誘惑に勝てなかった。……いや、誘ったのはこっちだけど。

白露の吐き出す言葉はどれも蠱惑的で、頭の奥まで染み渡る。


「俺、清心に触られるのがすごい好き。落ち着くし、何より……胸の中いっぱいになって、嬉しくて涙が出るんだ。何でだろ」


それは自分も知りたかった。

彼の頭を撫でる。それだけの事で、どうして視界が歪むんだろう。


今までだって何度も男と寝ている。それを繰り返して、抱いた男の数は覚えてない。

なのに何も知らない子どもと見つめ合って泣いている……自分がひどく滑稽だ。

「ねぇ清心。男同士でキスなんて、おかしくない?」

「そんなことない。……皆、隠れてこういうことをしてる。隠してるだけだ」

悪い事を教えている。

愛を与えた気になって、悦に入っている。

欲望のまま彼に触れたい。常識なんてなくてもここでは困らないから。

例えどんな過去を背負っていようと。


「……俺も、男と寝ることは多いし」


そう呟いた時、白露はわずかに眉を顰めた。




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