5話
六月の放課後。図書室の机の上には、完成した読書週間ポスターが数枚並べられていた。各学年ごとに作ったものだ。色鮮やかなもの、落ち着いたもの、イラストが目立つもの――それぞれの個性が出ている。
「じゃあ、掲示場所を決めよう」三年生の役員が声を上げた。
「図書室前に二枚、廊下に三枚、あと昇降口にも一枚貼ろう」
委員たちは模造紙を抱えて動き出す。真琴は大きなポスターを両手に持ち、「よし、私が廊下担当!」と元気に宣言した。優は「じゃあ、図書室前を整えます」と静かに答えた。自然に役割が分かれていく。
廊下では、真琴が一年生と一緒に掲示板の前に立っていた。
「ここに貼れば目立つよな!」
「でも、ちょっと高すぎませんか?」一年生が不安そうに言う。
「じゃあ、少し下げよう。みんなの目線に合わせた方がいいか」
真琴はテープを貼り直しながら笑った。勢いだけでなく、周囲の意見を取り入れる柔軟さも見せていた。
一方、図書室前では優が定規を使って位置を測っていた。
「左右の余白を揃えた方がきれいに見えるよ」
「ほんとだ、ずれてると気になるね」二年生の女子が頷く。
優は淡々と作業を進め、掲示板にポスターを整然と並べていった。落ち着いた雰囲気に、周囲も安心して手を動かす。
昇降口では三年生が中心となり、全体のバランスを確認していた。
「これで全部貼れたね。明日から読書週間だ」
作業を終えた委員たちは、自然に図書室へ戻って集まった。完成した掲示を見て、誰もが満足そうに笑っていた。
「桜井さんのイラスト、やっぱり目を引くね」一年生が言う。
「藤堂くんのレイアウトが整ってるから、見やすいんだよ」二年生が続ける。
真琴は「へへ、ありがと!」と笑い、優は「みんなのおかげです」と静かに返した。二人の違いが、委員会全体の協力の中で自然に活かされていた。
そのとき、三年生の役員が黒板に「文化祭展示企画」と書きながら言った。
「次は文化祭だ。図書委員会として何を見せるか、考えておいてね」
その言葉に、真琴は「よっしゃ、派手にいこう!」と即座に声を上げ、優は「落ち着いた展示も必要だと思う」と返した。周囲から笑いが起こり、自然に次の課題へと空気が移っていった。




