4話
六月の週末。校内は部活動の試合や練習試合で賑わっていた。
体育館の中央では、バスケ部の練習試合が行われていた。真琴は転校して間もないが、正式に入部したばかり。背番号をもらい、初めて試合に出ることになった。
「桜井、ディフェンスしっかり!」
「了解!」
真琴は必死に相手を追い、ボールを奪おうとする。スピードはあるが、ポジション取りが甘く、何度か抜かれてしまう。それでも声を出し続けて仲間を鼓舞する姿に、ベンチから「ナイスファイト!」と声が飛んだ。
後半、真琴はチャンスを掴んだ。仲間からのパスを受け、リングに向かって走る。シュートはぎこちないが、ボールは弧を描いてネットに吸い込まれた。
「入った!」
体育館に歓声が響き、真琴は思わずガッツポーズ。まだ技術は未熟だが、度胸と元気さでチームに勢いを与えていた。
同じ体育館の端では、セパタクロー同好会が近隣校との練習試合をしていた。部員は6名。試合に出るのは3人で、残りは交代要員としてベンチに座る。
「藤堂、次の頼むぞ」
「わかった」
優はセッター(トサー)役。相手のサーブを仲間がレシーブすると、ボールが優に渡る。優は柔らかく受け、そのまま正確にトスを上げる。ジャンプしたアタッカーが足でスパイクを打ち込み、相手コートに決まると「ナイス!」と声が上がった。
試合は接戦だった。相手の強烈なスパイクをレシーブした仲間からボールが優に送られる。優は落ち着いて一動作でトスを上げ、アタッカーが再びジャンプして強烈な一撃を放つ。
「よし、決まった!」
少人数の同好会だが、役割分担ははっきりしている。優の冷静なトスはチームの軸となり、仲間から「藤堂がいると安心する」と声がかけられた。優は小さく笑いながら次のラリーに備えた。
試合が終わり、真琴は汗を拭きながらベンチに戻った。ふと視線を向けると、体育館の隅でセパタクローの試合が終わるところだった。優がネット越しに仲間と笑い合っている。
「おー、藤堂!いい試合してたじゃん!」
「桜井もシュート決めてたね」
二人は自然に声を掛け合った。周囲の仲間が「委員会でも一緒なんだろ?」と興味を示す。真琴は「そうそう、図書委員会仲間!」と答え、優は「委員会でも部活でも顔を合わせるね」と穏やかに返した。
体育館の中で、二人はそれぞれの居場所を持ちながら、少しずつ互いの存在を認識し合っていた。まだ特別な関係ではない。ただ、同じ学校生活の中で自然に交わることで、距離は確実に縮まっていくのだった。




