19話
冬休みに入ると、学校は静まり返った。だが、生徒たちの交流は途切れることなく続いていた。図書室で培った絆は、休みの日にも自然に広がっていた。
真琴はバスケ部の仲間と初詣に出かけていた。境内でおみくじを引き、「ねぇ、見て!中吉だって」と笑うと、周囲も「おそろいだ!」と盛り上がった。試験の緊張から解放された笑顔は、冬の空気に溶け込んでいた。
優はセパタクロー同好会の少人数メンバーと公園に集まり、軽い練習をしていた。寒さの中でボールを蹴り合いながら、休憩時間には静かに本を開いていた。
「冬休みでも練習するんだね」と声をかけられると、優は「続けることが大事だから」と淡々と答えた。その姿は、図書室で見せた集中力と同じだった。
料理部は冬休み特別企画として「お菓子作り会」を開いていた。図書委員会のメンバーも招かれ、机の上にはクッキーやケーキが並んだ。
「ねぇ、これ図書室に持っていったら喜ばれるよね」
誰かがそう言うと、自然に笑いが広がった。
美術部は冬休みのスケッチ会を企画し、雪景色を描いていた。写真部はその様子を撮影し、後で図書室に展示する予定だった。書道部は「新年の抱負」を大きな紙に書き、図書委員会に寄贈することを決めていた。
図書委員会のメンバーは、冬休み中も連絡を取り合い「読書チャレンジカード」の進捗を共有していた。
「ねぇ、もう三冊読んだよ!」
「私は二冊。冬休みの間にあと一冊は読みたいな」
そんなやり取りが続き、図書室の外でも「本を読む場」としての空気が守られていた。
顧問の先生たちは、冬休み中も時折メッセージを送ってきた。
「元気に過ごしていますか。休みの間も本を忘れないでね」
「寒いから体調に気をつけて。新学期にまた会いましょう」
短い言葉だったが、生徒たちに安心感を与えていた。
夕方、真琴は帰り道でふと呟いた。
「ねぇ、冬休みって自由だけど、みんなと繋がってる感じがするね」
優は隣で歩きながら「図書室があったからだと思う」と静かに答えた。二人の言葉は、冬の冷たい空気の中で温かく響いた。
――こうして、冬休み中の活動や交流は、図書室を中心に広がり続けていた。試験を乗り越えた仲間たちの絆は、季節を越えて強く結ばれていった。




