17話
期末試験が終わった午後、図書室は久しぶりに静けさを取り戻していた。机の上には参考書ではなく、読みかけの小説や雑誌が並び、生徒たちの表情もどこか柔らかい。緊張の糸が切れ、ほっとした空気が漂っていた。
「終わったー!」と誰かが声を上げると、周囲から笑いが起こった。真琴は机に突っ伏しながら「ねぇ、もう二度とあんな公式は見たくない」と笑い、優は「でも、頑張った分だけ結果は出るよ」と静かに返した。二人のやり取りに周囲も自然に笑顔を見せた。
図書委員会は試験後の片付けを終えると、部活の仲間たちと合同で小さな打ち上げを企画していた。場所は図書室の隣の多目的室。机には料理部が用意した軽食やジュースが並び、美術部が描いたポスターが壁を彩っていた。写真部は試験勉強中のスナップを展示し、書道部は「努力」「友情」といった言葉を大きく掲げていた。
「試験の後にこういう場があると、救われるね」一年生がパンをかじりながら言う。
「ほんと。勉強ばかりじゃなくて、こういう時間も大事だよね」別の生徒が頷いた。
顧問の先生たちも顔を出し、笑顔で生徒たちを見守った。
「みんな、よく頑張ったね。今日はゆっくり楽しんで」
「試験の結果も大事だけど、こうして仲間と過ごす時間も大切だよ」
短い言葉だったが、生徒たちの心に温かく響いた。
真琴はジュースを片手に「ねぇ、次はもっと余裕を持って勉強したいな」と笑い、優は「計画的にやればきっとできる」と静かに答えた。そのやり取りを聞いていた周囲は「二人らしいね」と微笑んだ。
やがて、料理部のケーキが運ばれると、場はさらに盛り上がった。
「甘いものって最高!」
「試験の疲れが吹き飛ぶね」
笑い声が絶えず、試験前の張り詰めた空気とはまるで別世界だった。
夕方、窓から差し込む光が柔らかく部屋を照らし、打ち上げは自然に終わりを迎えた。片付けをしながら、委員会の一人が呟いた。
「試験の後にこうして集まれるのも、図書室があったからだね」
その言葉に、みんなが静かに頷いた。
――こうして、試験後の解放感は学校全体を包み込み、委員会と部活の絆をさらに深めた。緊張から解放された笑顔が、次の季節への力となっていった。




