14話
読書週間初日。校舎の廊下にはポスターが並び、図書室前には人の波ができていた。文化祭の熱気を思わせる賑わいだが、今回は「本と部活の出会い」というテーマが全体を包んでいた。
入口には美術部が描いた表紙デザインコンテストの作品が掲示されていた。鮮やかな色彩で描かれた架空の本の表紙に、来場者は足を止めて見入る。
「これ、投票できるんだって!」
「どれも本当に出版されそうだね」
生徒たちの声が響き、投票箱には次々と票が入っていった。
廊下には書道部の掛け軸が飾られていた。墨で力強く書かれた文学作品の名言が並び、来場者は思わず立ち止まる。
「文字にすると迫力あるな」
「読んだことのある本の言葉が、また違って見える」
掛け軸の前では自然に会話が生まれていた。
図書室の一角では料理部が「物語の料理」を再現していた。テーブルにはプリンやスープ、パンが並び、甘い匂いが漂っていた。
「小説に出てきた料理を食べられるなんて!」
「失敗例も展示してあるのが面白い」
来場者は列を作り、試食を楽しんでいた。料理部員は誇らしげに笑い、委員たちはアンケート用紙を配っていた。
写真部の展示は「読書する瞬間」。部活ごとに撮影された写真が並び、スポーツ部員が練習後に本を読む姿や、美術部員がスケッチの合間にページをめくる姿が映し出されていた。
「みんな、こんなふうに本を読んでるんだ」
「日常の一コマが作品になるね」
来場者は写真に見入っていた。
スポーツ系の展示も注目を集めた。バスケ部は「選手の愛読書紹介」を掲示し、練習後の写真とともにコメントを添えていた。
「この選手、意外と歴史小説好きなんだ!」
「スポーツと読書って繋がるんだね」
来場者は驚きながらも楽しそうに読んでいた。
セパタクロー同好会は「集中力を高める読書」をテーマに、小さな展示を作っていた。練習の合間に本を読む姿を写真部が撮影し、コメントを添えて展示した。
「人数は少ないけど、工夫してるね」
「集中力ってスポーツにも読書にも必要なんだ」
展示の前では静かな共感が広がっていた。
午後になると来場者はさらに増え、図書室は熱気に包まれた。委員たちは交代で案内を続け、声を張り上げて来場者を迎えた。誰かが「今年の読書週間は文化祭みたいだね」と言うと、周囲が笑顔で頷いた。
その様子を見ていた図書委員会の顧問の先生が、展示の合間に生徒たちへ声をかけた。
「よく工夫したね。読書週間は静かな行事になりがちだけれど、部活と結びつけたことで、学校全体が参加できる形になった。これは大きな進歩だと思うよ」
先生の言葉に、委員たちは少し照れながらも誇らしげに笑った。
「ただし、来場者が増えると安全面も大事になる。導線や人数管理を忘れないようにね」
その一言で、委員たちは改めて気を引き締めた。
夕方、展示を見終えた来場者が次々にアンケートを提出した。
「楽しかった」「部活と読書が繋がるのが新鮮だった」――感想はどれも前向きで、委員たちは自然に笑顔を交わした。
――こうして、読書週間は学校全体を巻き込む大きな企画となり、先生の講評も加わって委員会と部活の絆はさらに深まった。文化祭に続く成功が、次の挑戦への力となっていった。




