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rubyも鳴かずば撃たれまい

作者: xoo

くそっ、変なタイトル思いついてしまった。

日本語の本にはルビが振られているものがある。難しい字の読み仮名とかが付けられている。ルビは日本の明治期からある印刷用語で、どうやら他の国には無いか、一般的で無いか、ともかく日本独自のものと言って良いらしい。


とは言ってもインターネットには国境はない。スマホやパソコン画面で電子書籍やweb小説を表示するとき、ルビが振られている文章を目にする。というか、なろうでルビ機能がなかったら、かなりの作者さんの芸風wが変わってしまう。


スマホの画面、パソコンの画面はChromeやSafariやEdgeなどブラウザソフトの表示機能を利用している。これらがルビを表示する機能を持っている、なろうサイトなどから送られてくるHTMLデータにルビ情報のタグ<RUBY>(2001年に規定された)があって、これをブラウザが受信してルビの形で表示している、という仕組みだ。


あれ?ルビなのにRUBY、「I」じゃないんだ、と初めて知った時は不思議だったが(Internet Explorerだけの方言の時代だった)、もともと「ルビ」はイギリスの5.5ポイントの活字「ruby」から流用されている、とのこと。この時代のイギリスの活字は宝石の名前がコードネームだったんだって。


以上、生きていく上ではなんの役にも立たない雑学、でした。終わり。





なろうの小説とかweb小説とか、書籍のラノベもだけど、ルビは「振り仮名」としてだけ使われているのでは無い。

いやいや、日常生活では使わないクソ難しい字を敢えて使いたがるマイルド○○○ーな芸風の作者さんも居られるのは確か。でも一方では「本文に表の発言、ルビにウラの心情の副音声」という芸風の方、「本文に取り繕った表現、ルビにぶっちゃけた表現」という芸風の作者も居られて、それぞれ楽しく読ませていただいている。

でも、小骨が刺さっている私もいるのだ。



HTMLのお約束は、初期はIETFが、その後はW3Cが標準化(お約束化)を行っていた。タイトルや見出しや本文を構造化するとか、太文字 (ボールド)や斜体字 (イタリック)や文字や地の色、などを<>で囲まれたタグを使って指定するものだ。HTML以前にも類似のマークアップ言語として科学論文の印刷などに使われる「TeX」(テック、テフ)やHTMLの元となった「SGML」、HTMLを含む形の「XML」などもある。なろうでルビや傍点をつけるための記法もその一種と言ってよいだろう。


このHTMLが1997年のバージョン4.0で大きく変わった。構造や文字の修飾と文章の内容を分離したのだ。構造や文字の修飾はスタイルシートで指定するようになった。

これで何が変わったか?複数ページを共通のレシピ(スタイルシート)で指定できるようになった(見栄えが共通化できろようになった)ことと、文章の内容を表示するだけでなく、音声読み上げソフトなどで出力できるようになった。これにより、「視力障害がある人も、サイトのコンテンツを確認できるようになった」のだ。


大多数の(視覚で情報を確認できる)いわゆる晴眼者にとっては何でこと無いことだが、視力障害があり、ディスプレイの情報を確認できない人にとっては、メールであれば読み上げソフトや点字ディスプレイなどをを使えたのだが、インターネットのホームページはアクセスしづらい、実質的にアクセスできないものだった。パソコンのOSレベルではmacOSもWindowsもある程度のアクセシビリティが保証されている。しかしコンテンツレベルで対応されなければ読み上げソフトや点字ディスプレイで出力されない状況があった。

HTML4.0では、構造や文字の修飾と文章の内容を分離することによって、また含まれている画像データ等にはALTタグで代替コンテンツ(画像の説明など)を指定することによって、晴眼者以外にもサイトのコンテンツを利用できる仕組みを整えている(サイトが対応しなければどうにもならないが、仕組みだけはある)。

この仕組みは視力障害者だけが受益するものでは無い。「日本語を読み書きできない」、という意味では日本語を読み書きできない外国人・外国語の話者であっても、翻訳ソフト/サービスをかますことで使えるようになる。そういう意味ではルビも、日本語の話者だが難しい漢字が読めない人へのアクセシビリティー手段であると言えよう。


なのだが。


ラノベではルビを副音声として使うことが常態化している。いやこれも表現手法の一つなのだが、そうすると本文とルビの情報が乖離してしまう。Androidスマホの読み上げ機能では、ルビは読み上げられなかった。視覚障害者にとっては情報の一部が欠落する。同じことが翻訳ソフトを使う外国人にも起きる。


アニメは音声を翻訳する(吹替や字幕などの代替コンテンツを用意する)ことで国際化できた。日本語を聞き話せるファンも産み出した。でもラノベは、日本社会でも一般的じゃない難しい漢字を多用したり、本文とルビの内容が乖離することで(ルビの文化は日本だけのもの)、バリアになっている。なろうのコンテンツも、日本語の話者じゃない人にとっては利用しづらいものになっている、と言える。



もっとも、「日本人だけ、日本語の話者だけ、また晴眼者だけ相手にすれば良い」という人も一定数いるし、そういう人の声が大きいのも一つの事実である。

でも、刺さっている小骨が、疼くんだよなあ。

「福祉情報処理コーディネーター」というなんの役にも立たない民間資格を持っている。というか忘れていた。

投稿直前に思い出した。

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