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須々木優大33.力の差

 意識が戻り、勢いよく体を起こすと僕は辺りを見渡した。


 いくら直前まで距離をとっていたとはいえ、そう遠くない距離で最大級の爆発を起こしたのだから、一哉や由美たちも巻き込んでしまったに違いなかったから。案の定、由美や一哉は地面に体を伏せたまま動く様子はなかった。ミラーだけが全身に火傷を負いながらも辛うじて立っていたが、上空を見据える眼差しで僕はすべてを察してしまった。


「あ? お前木っ端微塵になってなかったか?」


 声をした方に目をやると、傷一つもないリリラガンの姿がそこにはあった。


 ……は?


 至近距離かつ最大火力だぞ? 無傷なんてあり得ないだろ。


「優大さん! バリアは無事です! 二人を避難させてください!」


 僕はミラーの言葉でなんとか我に返ると、立ち上がり一哉のもとへと駆け寄った。


「おいおい。つまんねーことすんなよ」


「させません。黙って見ていてください」


 リリラガンが発生させた風をミラーが止めてくれたのだろうか。僕は動きを止めることなく一哉を担ぐと、特に邪魔をされることなくそのままの足で由美のもとへと駆け寄った。


「うご……けるから」


 そう言い、由美は立ち上がるとバリアの方向へと歩みを進めた。由美も一哉も全身にやけどを負っている。やはり爆風に巻き込まれたのだろう。

 今はとにかくバリア内に入ることだけに集中し、僕たちは何とか侵入することに成功した。


 しかし、一時的にリリラガンの視界から消えただけ。ここに何かがあるのは馬鹿でもわかることだ。攻撃されてしまえばバリアは壊れるだろうから、再び無防備に逆戻り。何か策を講じなければ、一方的に蹂躙されるだけだろう。


 もっと慎重に戦うべきだったのだろうか。いや、風が止まっている状況で最大火力を出してもリリラガンは無傷だったんだ。どんな策を講じても、僕たちに勝ち目はなかったのだろう。


 ちくしょうが。こんなにも力の差があるのかよ。


「なぁお前。俺の風を止めるだけでも賞賛に値するが、その上でそこに存在している、入ると消える物体を爆風から守っていたな。なかなかの使い手じゃないか。こんなしょぼいやつらじゃなく、もう少し多勢且つ精鋭でくれば俺に傷の一つでも与えられたかもしれないのによ。実に残念で滑稽だな」


 リリラガンはそう言うと、残念そうにため息をついた。


「勝手な事を言わないでください。私は彼らと一緒だったから、ここまであなたを食い止めることができたのです。逃げずに立ち向かうことができているのです」


「じゃぁよ、お前の言う彼らを殺すとどうなるんだろうな」


「そんなこと、させるわけないじゃないですか」


 ミラーはそう言うと、ポケットの中に手を入れ、野球ボール程度の大きさの四角い物体を取り出したかと思うと、天高く放り投げて見せた。その物体は最高到達地点で突然大量の青い煙を吹き出し、周囲全体を覆った。


「逃げるための策にしては古典的じゃねーか。俺の能力の前だと意味を成さないしよぉ!!」


 リリラガンはそう言うと、ミラーの能力をもろともせずに突風を出現させ、煙を霧散させた。


「万策尽きたか?」


 リリラガンは誇らしげにそう言った。


「いえ、作戦成功です」


 ミラーのその言葉を皮切りに、僕たちの視界からミラーとリリラガンが姿を消した。


 目の前にはバリアがある。状況は変わっていなかったはずだ。それとも、あの煙に何か特殊な効果が?


 状況を把握できないでいると、


「ゆう……だい、さん?」


 聞き覚えのある声が僕の鼓膜を刺激した。


 声がした方に振り向くと、息を切らした雨海さんが驚いた表情でこちらを見つめていた。

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