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須々木優大31.守れるのなら

「他チームと合流するにしても、色々方法があるはずです」


「その色々を試した結果が、三人での生活だったんじゃないか」


「今回は今までとは違う気がするんです」


「そんな根拠もないこと言われても困るよ」


「ですが……」


 しばらくして外に出ると、ミラーが二人を説得しているようだった。しかし、お世辞にも上手くいっているようには思えなかった。



「話の途中で悪いが、ちょっといいか」


 僕は三人のそばまで近づくと、そう声をかけた。


 三人は話を止めると、何も言わずに僕の方を見つめてきた。


「僕はここに残る」


 僕のその言葉に、三人とも驚きを隠さず目を見開いた。


「何言ってんだよ!! お前が離脱するのは確定だ。今問題なのは俺たちの処遇についてなんだよ。それともあれか? 同情でもしてんのかよ」


「目の前に後悔を果たせるチャンスがあるのに棒に振るのは馬鹿げてる。それにあの人はどうするの?」


「優大さん。冷静になってください」


 それぞれが、それぞれの表情で僕に言葉をぶつけている。当然の反応なんだろう。それでも、僕は口を開いた。


「由美には、まだまだ言ってやりたいことがある。一哉とは大切な約束を結んだばかりだ。お前には簡単に贖罪なんてさせない。もっと僕の前で罪を償わせてやる。だから僕はここへ残る」


「それが己の後悔を果たすことよりも優先すべきことなのですか?」


「本音を言えば、今すぐにでもこの場を離れて二人で過ごしたい。だけどこのまま二人になったとして、死と隣り合わせの環境でどうやって雨海さんを守るんだ? 

 能力がなくなる僕は、ただのゴミなんだから。仮に雨海さんが誰にも選ばれていないのにも関わらず、この世界にやってきたのだとすれば僕が何かしらの力で関与したに違いない。つまり、僕にはまだ能力があるのかもしれないんだ。せめてそれを明確にするまでは、ここで戦わせてくれ」


「第二の能力。本来ならあり得ませんが、現世にいることで何かが作用し、発現したという可能性は確かに否定できません。ですが、前例がなく、本人にもわからない状態で明確にしていくには大変時間がかかることだと思います。何年、最悪の場合は何十年。それくらいの覚悟はありますか?」


「それで雨海さんの未来を守れるのなら」


 僕は、そうはっきりと言い切ってみせた。


「そうですか。私たちは言うまでもなく、優大さんに賛同いたします。ですが……」


 ミラーはそこまで言うと、由美や一哉の方を見た。


「心を読むまでもないかな」


「イラッとしたわ」


 それに答えるように、二人ともそう声を出すと頷いた。


 ミラーは、再度僕を見つめると


「一つだけ、賛同しかねる点があるとすれば、たとえ優大さんが能力を使えなくなったとしてもゴミではないということです。優大さんは私たちの仲間ですから」


そう言って笑みを浮かべた。


「ありがとう」


 思ってもいないことを言われ、それ以外に何も言うことができなかった。


「さて、ひと段落ついたものの、あの女性をどうしていくか、優大の別の能力を見出すにはどうするか。課題は山積みね。ほんと世話のかかるバカ優大なんだから」


 由美は腕組をしながら、呆れたようにそう言ったが、僕には口角が上がっているように見て取れた。


「俺たち四人はこれからも継続。つまりはそういうことでいいんだよな?」


 一哉はミラーにそう言葉をぶつけた。


「現状優大さんの環境を変えるのは得策ではないでしょう」


「そうか! っしゃぁぁ!! 優大!! 景気づけに一発敵倒しに行こうや!!」


 ミラーの言葉で一哉は途端に元気を取り戻すと、僕の方を見て腕をぶんぶんと振り回した。


「バカ一哉! 今はそれどころじゃないでしょ?」


「でもよー、この喜びは由美にだってあるんじゃねぇのか? スカッとしてこようぜ?」


「そういう問題じゃないの! 何て言えば伝わるのかな。まったく」


 いつもの二人が戻ったようだ。ふとミラーを見ると、微笑んではいるものの、どこか陰りがあるような気がした。

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