はじめまして。
アニメに憧れて5歳の誕生日にもらったサッカーボール。
サッカー選手になりたいとサッカークラブに入り6年間。
人より少しうまい程度で中学の部活に入るも他に才能がある奴らの影に埋もれて3年間を終えた。
高校こそはと大事に使ってたサッカーボールがボロボロになっても練習はやめなかった。
家の裏で練習して、部屋の中でリフティングして、
母さんにあきれられ、父に応援された。
高校でサッカー部に入るもレギュラーにはなれなかった。
最後の試合に出してもらうも、他の奴らほどうまく動けなかった。みじめだった。
母がお疲れ様と好物の唐揚げをたくさんくれたがあまり食べれなかった。
心配する母をおいて部屋にむかう。
見た目は普通。勉強はそこそこ。サッカーは普通より少しうまいくらい。
俺にはなにもなくなってしまったきがした。
部屋の隅には毎日磨いてたサッカーボール。
もう見たくもない。押し入れに投げ入れた。
もう何も考えたくない。布団に入った。
朝。身体の重さに目を覚ます。
ショックのあまり風邪でもひいたのか寝起きの頭で考える。
寝返りをうつと…女の子が寝ていた。
「え、え!え!?あ!???」
慌てて布団から飛び起きるもむにゃむにゃ寝てる女の子。
俺は女の子から目が話せない…!
白髪に黒混じりの髪。小柄な身体つきで…そして全裸…!!!
なんでた!???
だれなんだ!!!???
慌てて階段を降りる
「裸の女の子がぁ!!???」
と叫ぶと父と母と目が合う。
「あんた…どうしたの?」
母が悲しそうな顔で俺を見る。が嘘はついてない!
「俺の部屋にいるの!!!裸の女の子がぁ!!!」
二人とも俺を悲しそうな目で見るだけ。
「昨日は…頑張ったもんな。なっ、」
と父が言うが理解しようとしない…!
「いいから!早く俺の部屋にきて!みてくれって!」
俺の必死の声かけに呆れ顔の父と母を説得して部屋につれてく。
「ほら!!!」と部屋を開けるがだれもいない。
母が「さきにごはん!たべちゃってっ!」と階段を降りてく。
父には悲しそうな目で肩に手を置かれた。
何だこの羞恥心。違うのに…。
渋々階段を降りて食卓へ座る。
急いで朝食をかっこんで部屋に戻った。
俺は誰もいない部屋で裸の女の子を探すが誰もいない。
「おれ…寝ぼけてただけ…?」
とつぶやくと転がるボールをみつけた。
確かに俺は押し入れに入れたはず…考えるがボールから手足が生えてきたくらいしか違和感がない。
「違和感!!!!!!!!!!?!!!!!?」
サッカーボールに小さい手足!?違和感しかないっ!!!
スクワットをしながらあわてる俺を見て転がるそいつ???が笑ってようにみえる。
立ち上がった?ボールが
「おちついてよアラトくん!」と喋り俺のスクワットも思わず止まる
「おま…えは…?」
声をかけると胸に手を当てて
「私はサッカーボールの付喪神!!!
アラトくんに大事にされたおかげで付喪神になれました!」
「付喪神…??」
聞き返す。
「やだぁ♡アラトくんたらテンプレテンプレェ♡」
茶化しながら頬?を赤らめる白黒のボール。
ボールは「信じてないなぁ!?」と怒り気味に座り?M字開脚?をする。
「これが証拠だよ…♡」
恥じらうが何もそそられない。
ボールに手足が生えてるだけだから不気味さが強いが
確かに太もも?付近に5歳の俺が書いた名前がある。
「ほんとに俺のボールなのか…」
ボールに書いてある名前をなぞる
「やだっ…!アラトくん♡そんなとこ触らないで!ん…♡」
卑猥な声をあげられるがボールを触ってるだけである。
手足をばたつかせて抵抗するボールを無視して全体を見る
このくたびれ具合。傷の位置。ほんとに俺のボールだ。
「あっ!あっ!あっ♡♡くすぐっ…たいっ!ん♡」
いちいちビクついて喘いでうるさい。誤解が生まれてしまう。
最中扉がバンッ!と開き
「アラトォぉぉぉぉーー!!!!女の子に嫌がることは…!」
勢い良く父がくるが俺はボールを持ってるだけ。
「父さん…これ…」
ボールをみせるが「俺が疲れてるみたいだ、すまない…」と部屋を静かにでていった。
父には手足が見えてないようだった。
「はぁ…♡はぁ…♡おしまい…?」
息が荒いボールに何を言われてもときめかない。
腹が立ったので思い切り床に叩きつける。
「はぁんっ!?」
弾むボールを尻目になんでこんなことが?
だんだん落ち着いてきた。
「ひどいよぉ!私は蹴るものっ!知ってるくせに…!」
とトコトコボールが歩いて?きた
何だこいつと思うが俺と何年も一緒に過ごしてきたボール。
わるいとはおもったが…
「おれ、サッカーやめるからもう蹴ってやれねぇよ。」
切ない空気が流れるがDV臭が拭えない。なんだこれ。
ボールはせつなそうな俺の手を取り
「いいの…。私…押し入れに入れられたときにそんな気はしてたんだぁ。でもたまには私のこと気にしてほしいなぁ。」
見た目変な感じだがボールの一言に泣きそうになる。
すっごい変な感じだが…
「私!転がらないからっ!だから最後にっ!……ここで蹴ってくれないかな…?アラトくんとするの…たのしかったんだ…!」
なんか引っかかる言い方だがサッカーボールはあしで使うもの。レギュラーになれなかったが、こいつと過ごすドリブル練習もボール磨きの時間は俺も嫌いじゃなかった。
手足は生えても愛着があるんだ。
部屋の中だがボールの要求をきくことにした。
「わかったよ…壁に穴があかない程度に蹴るよ」笑いながらボールに話しかける。
「私だって手足があるんだから!思いっきりお願い!負けないように踏ん張るからね!」
なんておかしいところはあるがボールと笑いあった。
あのときのプレーがよかった。始めたてはこうだった。
池に落としたこともあった。と軽い思い出話をして、
「じゃあそろそろ蹴り飛ばすか、」
「うん!おねがいね!」
家でリフティング用に買った靴を履く。
ボールが四つん這いにスタンバイする。
「いままで……ありがとよっ!!!!!!」
と足を振り上げる。
ぼわんっ!とピンクの煙がでて朝見かけた全裸の…白黒ヘアーの女の子が現れた。
「おねがいっ!しまぁぁぁぁぁぁす!!!」
振り上げた足を急には止められない…。
突如現れた全裸の女の子の尻を思い切り蹴り飛ばし「はぁぁぁぁん♡♡♡」と叫び声が部屋に響く。
目を見開きおどろいてる俺が扉を見ると父が俺より目を見開いていた。
あわてて
「こいつは俺のボールだから!!!蹴るべき物っ!!!」
そのとおりだか今の状況から最低な発言。
「アラトぉぉおぉーーーー!!!!!!!!!!!」
と父の怒号と共に殴られ俺は吹っ飛んだ。
殴られるも(さっきはボールの手足も見えてなかっただろうが…)と考えていた。
恍惚とした顔でビクビクとする全裸の女の子。
騒ぎを聞きつけた母がタオルをかけていた。
俺を見る目はゴミのようだった。
父が女を殴る男は最低だと…罵る声を聞きながら
手じゃない…蹴り上げたのだと弁明しようとしたが俺の意識はそこで途絶えた…。